寸劇プレゼン
マーケティング・リサーチャーに必須のツールは「統計解析ソフト」
ですが、現在日本で、デファクトスタンダードの地位を確立して
いるのが
です。
私がSPSSのソフトを始めて知ったのは95年頃ですが、
従来の製品と比較して、高度な分析が可能なのに格段に使いやすく、
かつ値段も手頃なので、早速当時の会社で導入し利用していました。
そして、独立した現在も、新規に購入して引き続き利用しています。
私のような個人で活動するリサーチャーにも手の届く金額で購入
でき、たいていの分析ができてしまうのは大変にありがたいです。
(さすがに高度なデータマイニングができるツールは数百万円
しますので、手が出ませんが・・・)
さて、SPSS社の場合、いわゆる4Pで評価すると、
Product:製品が優れている
Price:手頃な値段、コストパフォーマンス高い
Place:基本的に直販、コンサルティンググループ、パートナー
会社との連携によるソリューション型販売も可能
Promotion:継続的なブランディング、プロモーション(狭義の販促)
となり、
とてもバランスのよいマーケティング戦略が展開されていて、
成功するための必要十分条件が揃っていることがうかがえます。
特に、Promotion(広義の広告・広報、販売促進戦略)に対して、
明確なコンセプトを打ち出し、ブランディングに相応の予算を
毎年安定的に拠出してきている点が、現在の高いブランドイメージ
を構築できた最大の要因だと思います。
SPSS社では、プロモーションの目玉として、
年2回(春と秋)、ユーザーや潜在顧客を集めたセミナーイベントを
開催しているのですが、先日開催された「Data Mining Day 2006」
に私も参加してきました。
この春のイベントでは、昨年から面白い試みをしています。
SPSS社のソフトを採用したソリューション紹介を
社員が演じる寸劇によって紹介する、「寸劇プレゼン」です。
ソリューション紹介というと、普通はプレゼンターがデモ画面を
スクリーンに映し出しながら操作手順を説明するといったところが
定番でしょう。
しかし、「寸劇プレゼン」の場合、架空の会社での特定場面
(ミーティングやコールセンター)を想定して、そこでリアルな
会話を再現しながら、自然な形でソフトの操作や特徴、便益が
紹介されていきます。
今回は、老舗の損保会社と新興の損保会社が対比的に描かれて
いました。
老舗企業では、顧客データ活用がまるでできず、お先真っ暗な
様子が、会議中の上司と部下との情けない会話で示されます。
一方、新興の方は、SPSSのソリューションを積極的に取り入れる
ことで、顧客の利便性が高まったり、コールセンターの負荷が
軽減されるといった成果が、ミーティングでの生き生きした
会話やコールセンターでのオペレーターと顧客との会話で
示されます。(やや理想的すぎる展開と感じないこともない
ですが、設定は架空の会社でも採用されているソリューションは
本物だそうです)
この寸劇プレゼン、昨年も大変好評だったそうですが、
今年も実際「観劇」していて、実に面白いと思いました。
やはり「物語」の魅力でしょう。
一定の文脈があり、演じる役者たちは喜怒哀楽の感情を
交えた会話を交わすのです。ついつい引き込まれてしまいますし、
印象的です。
SPSS製品の特徴、便益を認知させ、理解させ、
かつ記憶に留めさせるという点において「寸劇プレゼン」は
とても効果的だと思います。
「寸劇プレゼン」は、米国本社で最初に採用された方法の
ようですが、こうした先進的な取り組みができるのも、
SPSS社が「マーケティング巧者」であることを物語っていますね。
ほかの会社でも「寸劇プレゼン」を導入するところが
これから増えるでしょうか・・・?
でも、準備は相当大変みたいですね。
寸劇に登場した社員の皆さんは、
ゴールデンウィーク返上で稽古したそうです。
投稿者 松尾 順 : 2006年05月26日 09:34
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