消費財メーカーのロングテール

「大好きだったあのお菓子、
 なんでもうどこに行っても手に入らないの?」

こう叫んで悲嘆にくれたことありませんか・・・


流通小売業における「IT化進展」の最大の功罪のひとつは、
市場に出回る新商品数を大幅に促進させたことにありますね。

商品アイテム(単品)レベルでどの位売れているか
即座に把握できるPOSシステムのおかげで、
売れ筋、死に筋がすぐにわかってしまう。

鳴り物入りで登場した、あるいは社運をかけた新商品でさえ
最初の1-2週間の売れ行きが悪いと即座に棚から撤去。

売れ残った在庫はディスカウントストアなどに流され、
最後は生産中止に追い込まれます。


大金かけて消費者調査を行い、
頭を絞って商品コンセプトを生み出し、
必死の形相で各部署を駆けずり回って段取りをつけ、
ようやく上市できたと思ったらあっという間に生産中止。

それでも、売上げを維持するためには、
次々と新商品を投入し続けなければならない。

振り返ってみれば、育たなかった新商品の死屍累々。

こんな悲惨な経験を味わされている消費財メーカー各社の
マーケターの皆さんの思いはいかほどでしょう・・・


これってどうにかならないものでしょうか。


消費者としては、いろいろと目新しい商品が出てくるのは
うれしいことではありますよね。

ただ、大半があっというまに消え、定番として残る商品は
数えるほど。自分は好きだったあの商品も総売り上げが
良くなければ、二度と手に入れることができなくなります。

しかも、冷静に考えてみれば、
生まれてすぐに消されてしまったかわいそうな新商品の数々の
ために投下された費用は、生き残った商品の価格にも
反映されているのです。

つまり、ITの進展によって引き起こされた過剰な
新商品ラッシュは、消費者にとっては割高な価格という
結果になっているわけです。


でも良い方法がありました。
やはり「インターネット活用」です。

田坂広志さんの「事物の螺旋的発展」に照らして考えれば、
作ったものを自ら消費者に売る「豆腐屋さん」的商売への
「復古」とネット活用の「革新」の組み合わせといえる
でしょうか。

要するに、消費財メーカー自らネット通販に
もっと力を入れればいいんです。

消費財はおおむね単価が安く、
配送コストが割高になるという問題があります。

ですが、いわゆる「ロングテール」の考え方からいけば、
今よりも多くの新商品が一定以上の売上げを確保し、
生き残ることができるようになるかもしれない。

あるいは、逆にまずネットで一定の固定客を確保しておいてから、
リアルな店舗に流すという、従来とは逆のやりかたを取れば、
無駄死にする新商品を減らせる可能性がありますよね。


「江崎グリコ」さんも、最近、ネット販売を強化し、
最寄の店で手に入らなくなった商品を消費者が直接メーカーから
購入することができる仕組みを充実させました。

取り扱い商品数も、従来の2倍の150種類に増やす計画です。

同社が毎年出す新商品は200点前後で、これまでは
やはり大半が消え行く運命にありました。


しかし、これからは、こうした新商品をネットチャネルを
通じて販売することで、消費財メーカーの商品開発の
あり方も大きく変わっていくかもしれません・・・

投稿者 松尾 順 : 2006年03月28日 06:00

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