オキシモロンが好き!
「オキシモロン」って、やらしい性フェロモンとかじゃないです。
でも、私はとても好きなんです。
オキシモロンは、日本語では「撞着(どうちゃく)話法」と
訳されます。「矛盾語法」と呼ばれることもあります。
文字通り、矛盾した言葉を組み合わせた表現のことです。
ぱっと見た瞬間、「ありえねー」と感じるわけのわからない表現。
例えば、
「巨大な小エビ」
「冷たい太陽」
「凶暴な優等生」
「エッジの効いたなまこ」
など・・・
オキシモロンは、小説や映画のタイトル、広告表現などで
様々な形で使用されていますが、読み手を「ハッ」とさせ、
あるいは「ニヤリ」とさせ、興味を喚起する効果がありますね。
また、オキシモロンは、新たな発想、商品開発の原点と
なりうるテクニックでもあるんですよ。
なぜなら、新たな発想は、基本的に異質な(=矛盾した)情報の
組み合わせから生まれるわけですから。
パーミションマーケティングのセス・ゴーディンの最新刊、
‘マーケティングは「嘘」を語れ!’
(セス・ゴーディン著、沢崎冬日訳、ダイヤモンド社)
の中でも、「撞着話法」について触れられています。
“撞着話法が最も大きな効果を発揮するのは、これによって、
矛盾する二つの概念双方を実際に「求めて」いる、
少数ではあるが今まで相手にされていなかったグループに
働きかけることが可能になる場合である”
そして、具体例として挙げるのは、
急成長している客船ビジネス「アドベンチャークルーズ」
スターバックスの「カフェイン抜き豆乳ラテ」
です。
「アドベンチャークルーズ」は、冒険と快適さという相反する
欲求を同時に充足させる新市場を、また、
「カフェイン抜き豆乳ラテ」は、
健康を志向しつつコーヒーを楽しみたいという市場を発見した
わけです。
また、日本で最も成功したオキシモロン発想は、
「コクとキレ」
のアサヒスーパードライでしょう。
これは言い換えると、新たな「市場ポジショニング」ですね。
ちなみに、私が師範代を務めている編集学校では、
発想法の稽古(練習)としてこのオキシモロンが採用されてます。
実際、自分でオキシモロンを作ってみてください。
なかなか楽しいですよ。
ソクラテスの名言、
「無知の知」
もオキシモロンです。
投稿者 松尾 順 : 2006年03月07日 11:14
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mindreading.jp/mt/mt-tb.cgi/147
コメント
はじめまして、松尾さん。
僕は大学で詩を勉強している者です。
オキシモロンの意味を確認しようと検索して
このページを見つけました。
事例に富んだ平易なご説明、
とても参考になりました。
知りたいこと以上の発見がありました。
ありがとうございます。
以下に自作の詩をご紹介させて頂きます。
お礼のしるしに…と言ったら生意気でしょうが…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
言葉のデッサン~きみの肖像②A・Iへ~
「冬の風鈴」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
きみは冬の風鈴だ
その音色は
張り詰めた空気を震わせて
柔らかに響き
分厚い雲を突き抜けて
太陽の頬を撫でる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
きみは都会の遭難者だ
部屋の隅
怖がりな幽霊のようにシーツをかぶり
膝を抱えたまま
何処か暖かい場所へ
救い出してくれる者を待ってる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
きみは意思を持った氷だ
雪解け風には動じない だけど
心の奥に秘められた泉に湧く
涙の温度で
ひとりでに溶け出して
大地にそっと浸透する
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
暖炉の中の炎が呟いた
きみは誰なんだい?
すると窓の外から
あの音色がまっすぐやって来て
炎を優しく揺らせた (了)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
投稿者 小黒慎之助 : 2007年01月30日 13:34
小黒さん、こんにちは。
すばらしい詩をありがとう!
無粋に分析してしまうと、味わいが薄れてしまって
すいませんが、比喩とオキシモロンが効果的に
使われてますね!
投稿者 松尾 順 : 2007年01月30日 15:28
なんかの映画で、オキシモロンの例として
「ミリタリーインテリジェンス」って言ってましたね。
あれ、アメリカの映画館でミリタリーの人たちが
うー。。。とか言って苦笑いしてました。
投稿者 R2 : 2009年11月23日 07:04
コメントしてください