検索結果集合

私が参加している「おじさんバンド」で、
この春、音楽合宿をやることが決まりました。

旅行会社に勤めていた(といっても20年近く前のこと)から
というわけではありませんが、
私が合宿先を探す役目をおおせつかりました。

メンバーはみんな働いていますし、ドラマーは関西在住です。
そこで、集まりやすさなどを考慮して、
場所は「小田原周辺」にしようということになりました。


こういう時はネット検索が便利ですよね。
GoogleやYahooを利用して早速、小田原、音楽、合宿、練習
などいくつかのキーワードで探してみたのですが、
なかなか適当な宿がありません。

実は、ネット系の仕事をやっていながら、検索技術はあまり
高くないんですよね・・・お恥ずかしい。


しかし、このままでは合宿ができないぞと必死で探し回り、
ようやく見つけました。

小田原から近く、温泉もある宿。
私たちのバンドの音楽合宿にぴったりの条件です。


この宿がちゃんとSEO(サーチエンジン対策)を
やってくれていればすぐに探し出せたのにと、
ちょっと逆恨み。(⌒o⌒;

もしこの宿が見つからなかったら、
合宿取り止めか、妥協して不便な宿に決めていたところでした。

ネット検索以外にも探す方法はあったのかも知れませんが、
そこまでやる気力は残ってません。

こんな気持ちは、皆さん同じだと思います。

要するに、

「ネットで検索されない情報は、存在しない」

とみなすのが今の消費者でしょう。

だからこそ

「SEO対策」

がますます重要性を増してるわけですが。


さて、消費者が、なんらかの商品購入に当たって
購入対象と考える商品の集まりのことを

「想起集合」

と呼びますよね。

この「想起集合」の中から、
さらに購入の条件(予算とか、品質基準など)で
絞り込まれた商品の集まりが

「考慮集合」

です。

そして、最終的に購入される商品は「考慮集合」の中から
選ばれることになります。

したがって、売り手としては、自社商品がまず「想起集合」
に入ることが重要だと言われてきました。

ここで「想起集合」に入るのは、消費者が
思い出す、覚えている商品・ブランド名です。


ただ、ネットの登場によって、「想起集合」という
考え方があまり通用しなくなってきたように思います。

コンピュータやインターネットは、
人間の脳を補完してくれる強力な外部記憶装置です。
しかも、高い検索機能を持っています。

したがって、様々な情報を自分の脳で記憶する必要が
薄れてきました。なんたって、検索しさえすれば、
膨大な情報が端末からいくらでも出てきますから。


ですから、何か買おうと思った時に、

「どんな商品があったけな?」

とか考える前に、いきなり検索ボタンを叩く。

購入対象となるのは、検索結果のせいぜい1-2ページに
表示された商品だけでしょう。

つまり、ネット社会において、
消費者の購入対象となる商品の集まりは、
もはや「想起集合」ではなくて、

「検索結果集合」

になってしまっています。

この消費者行動の変化は、今後さらに加速するでしょうね。

投稿者 松尾 順 : 2006年02月21日 11:12

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コメント

松尾さん、ご無沙汰してます。ひそかに毎日楽しみにしています。

昔の想起集合とは、確かに行動面では違うのですが、検索結果の中からあるブランドを抜き出す際に、また想起集合がからんでくると思います。

ユーザビリティテストをやっていても、検索結果のトップにあるものを必ずしもクリックしてくれるわけではなかったりしまして。

検索結果集合の中から、ブランドをまったく無視して、平等に内容を検討して、決定できるのは「価値ハンター」かも。

投稿者 菅原 : 2006年02月22日 10:12

菅原さん、ご無沙汰してます。
コメントありがとうございました。

ひそかに楽しみにしていただいてうれしいです。(^-^)


なるほど、

>ユーザビリティテストをやっていても、検索結果のトップに>あるものを必ずしもクリックしてくれるわけではなかったり
>しまして。

とうことなんですね。
検索結果と、自分の想起集合をつき合わせているということでしょうね。

いわゆるトップブランドの場合は、検索結果集合よりも想起集合の方が重要でしょう。ただ、下位ブランドの場合には、そもそも想起集合に入らない可能性が高いわけですから、検索結果集合にぜひとも入る必要がありますね。

>検索結果集合の中から、ブランドをまったく無視して、
>平等に内容を検討して、決定できるのは「価値ハンター」
>かも。

というのは確かにおっしゃるとおりだと思います!

投稿者 松尾順 : 2006年02月22日 10:59

松尾さんの以下のコメントで、ちょっと思ったことです。

>ただ、下位ブランドの場合には、そもそも想起集合に
>入らない可能性が高いわけですから、

リサーチ的に言えば、トップブランドの狙うマインドシェアって、純粋想起1位だと思いますが、検索結果集合の中では、
助成想起10位でも役に立つような気がしますね。
(想起集合の範囲がゆるやかというか)

たとえば、雑誌を読んで「いい宿」として紹介されてたものをみて、そのときはニーズがないので、アクションにはいたらないのですが、検索結果で出てきたときに急に思い出して、あ、あのときの宿だ、と思い出してしまう、というようなパターンですが。

投稿者 菅原 : 2006年02月23日 12:53

まさにまさに、おっしゃるとおりだと思います。

想起集合だと、ほんとに上位数社しか含まれなくて
下位ブランドは、ブランド認知レベルで苦しい戦いを
していたわけです。

ところが、検索結果集合だと、最初の1-2ページ分の
リストは見てくれるので、助成想起が低くても検討対象
になり、考慮集合に入る可能性も高くなりましたよね。

とすると、逆に言えば、大手はそのブランド(知名度)
だけにあぐらかいてると、下位ブランドにしてやられる
可能性も出てくるということでしょうか。

投稿者 松尾順 : 2006年02月23日 14:06

整理してみますね。

まず、ブランドで検索される、というレベルの戦いが一番上位の戦いでしょうか。(これは純粋想起1位の戦い)

その下が、カテゴリなどで検索されたときに、ブランドとして選択される戦い。(これは助成想起での認知・理解集合に入っているかどうかの戦い)

その下が、検索結果上位20位以内に入る戦い。(これは、SEOの戦い?でも、根本的にはクチコミ(被ページリンク)がないといいところにはいかないから、現顧客の満足との戦いかも)

その下が、検索できるかどうかの戦い。(そもそもページがないとか)

まずはこんなところでは、どうでしょうか。

投稿者 菅原 : 2006年02月24日 10:36

わかりやすい整理ですね。
想起集合段階では、3つのレベルの戦いが存在しているんですね。ネット時代は複雑です。(笑)

そして、やはり私が重視すべき点だと思うのは、

想起集合(購入候補)→考慮集合(購入検討候補)

へと絞り込まれる際に、これまではそもそも認知・理解さえされてなかった下位ブランドが、ネット時代の今は、検討対象となる「考慮集合」に入る可能性が高くなったということです。

純粋想起上位のトップブランドが最終的に選択される確率はあいかわらず高いでしょうけど、認知レベルだけで優位な立場にいられた以前とは違ってきていますね。

投稿者 松尾順 : 2006年02月24日 11:30

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