協争するバー
東横線のある駅の近くに友人が引っ越したそうです。
(あえて駅名は伏せます・・・)
酒好きの友人は、なにはともあれ地元のバーを開拓しようと
出かけました。酒なくて何が人生楽しかろうでしょう。
さて、ここでクイズです。
最初に行ったバーの壁には、あるものが貼ってありました。
それは何でしょう?
クイズなんかするなという声が聞こえてきましたので
すぐに答えを書いてしまうと、「地元のバーマップ」です。
その周辺のバーの店名や場所が記載された地図です。
これを見ると、特に大きい駅でもないのに、
かなりの数のバーが点在していることがわかったそうです。
そのバーマップを見て他の店に行くとそちらにも、
バーマップが貼ってあります。
本来地元客を取り合うライバル同士のバーが、
お互いの立地情報を教えあっているんですね。
繁華街じゃない地元のバーが成功するためには、
常連さんをどれだけ獲得できるかが鍵ですよね。
ただ、お客さんは、2軒3軒とハシゴしたくなる時もあるし、
たまには浮気もしたい。
最後は正妻に戻ってくるにしても、愛人の2人や3人は
囲っておきたい。
下品な喩えになりましたが、
こうした消費者のニーズを読んで、どうせバーに行くのなら、
渋谷や自由が丘とかに行かず、地元で回遊してくださいという
メッセージが「バーマップ」でしょう。
要するに、お店単位ではなく、
エリア単位で顧客を囲い込もうということ。
この地域のバーの経営者たちは、競争関係にありながら、
エリアに対する集客においては協調しあっています。
こうした戦略を「協争」(Coopetition)と呼びますね。
‘Cooporation(協調)’
と
‘Competition(競争)’
の合成語です。
協争戦略は、様々な業種・業界で行われていますが、
そもそもライバル同士の間では「協力」のベースとなる信頼関係が
ないので交渉には苦労します。
このため、協争戦略を推進する強力なリーダーが必要なんですね。
上記「バーマップ」の作成の影にも、熱い情熱を持ったリーダーが
いるんじゃないでしょうか。
投稿者 松尾 順 : 2006年02月17日 12:04
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