「もてないパターン」を回避する

「失敗学」で知られる畑村洋太郎氏(東京大学名誉教授)は、
本来は、新しいアイディアを生み出す「創造の方法」を
追求してきました。

失敗学はその過程でうまれてきた副産物だったようです。

さて、畑村氏によれば、創造であれ、失敗であれ、
何かを考えようとするなら、まずモノゴトをしっかりと
理解すべきだそうです。つまり「本質」をつかむということです。


畑村氏は、本質をつかむための発想法をいくつか挙げていますが、
私が、これは使えるなと思ったのが「逆演算の思考」です。

企画、設計、計画などは、通常「順演算」で進められます。
まず目標を決めて、それを分析し、一つひとつ
やらなければいけない課題に落とし込んでいきます。

つまり、「順演算」とは、定められた定式やシナリオどおりに
ものを考えて答えを出す思考法です。

ただ、順演算だけの思考法だと必ず「想定漏れ」が発生します。
そして、この想定漏れが、後々事故や失敗の原因に
なるのだそうです。

そこで、「逆演算」の思考を組み合わせます。

「逆演算」は、最初に起こりうる事故や失敗を想定して、
そこからだんだんとさかのぼり、最後に設計、企画の中に
生かすという考え方です。


実際、これはWebサイト設計などに応用できます。

Webサイト設計では、例えば

「目的のコンテンツに最短で到達できる使いやすいサイト」

といった目標を置いて設計するのは常識です。

ですが、さらに逆演算の思考法で、

「サイト訪問者が、もし迷ってしまったら?」
「注文途中で停電してしまったら?」

といった、サイトで起こりうる問題を最初に検討し、
そうした問題を回避するところまで踏み込めば、
さらに完成度の高いWebサイトが設計できるでしょうね。


いかがでしょう。
順演算だけでなく、逆演算の思考を組み合わせることの
重要性がご理解いただけたでしょうか。

実は、上記の思考法は、なかなか説明が難しいなあと
思っていたんですが、とてもわかりやすい説明を発見しました。

ワイキューブという人材コンサルティング会社の社長、
安田佳生氏のメルマガ「さるならわかる経営の真実」にあったのです。

ここで当該箇所を引用させていただきます。


“女性にモテたいと思う男性は多く、みな一様に
「どうすれば女性にモテるか」ということを一生懸命考えます。

 しかし、パターンが多く、誰にでも当てはまるわけではない
「モテるパターン」を考えるよりも、ある程度共通している
「モテないパターン」を考えて、その「モテないパターン」
 を回避するほうが簡単なのです。

 「ケチ」「下品」「フケツ」などが代表的な要素として
 あげられそうです。”


まさに、これこそ逆演算思考ですね。(^-^)

投稿者 松尾 順 : 2006年01月25日 10:59

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