大衆化に逆戻りする消費者行動

日経MJの最新の消費者調査の分析結果では、
消費者を次の4つのタイプにセグメントしています。
(カッコ内は構成比)

・先端自称層(31.1%)
 情報収集に積極的。消費活動はライフスタイルやブランドにも
 自覚的。消費金額が比較的高い

・勝ち馬乗り層(31.3%)
 消費では自身のライフスタイルより流行やトレンドに反応。
 流行を追い、消費自体を楽しむ。消費金額は高め

・こだわり層(23.0%)
 流行には左右されず自分の価値観に合ったモノ・コトだけに
 お金を使う。消費金額は平均的

・無関心層(14.6%)
 こだわりがなく、流行やトレンド情報にうとい
 買い物に対してめんどう感が強く、消費金額も低い。
 価格重視

世の中の流行を追う「先端自称層」と「勝ち馬乗り層」の合計で、
全体の60%を超えている点が注目すべき点でしょう。


消費者の商品購入に対する態度の違いによるセグメントとしては、
60年代に提唱されたロジャースの「イノベーター理論」と
いうものがありますが、上記「先端自称層」と「勝ち馬乗り層」
に相当するセグメントは、

・イノベーター(2.5%)
・オピニオンリーダー(13.5%)
・アーリーマジョリティ(34%)

で合計50%となります。
(実際には、「イノベーター」は、流行の源となる人たちで、
流行を追う人々ではありません。したがって、厳密には
「先端自称層」「勝ち馬乗り層」とは異なると考えるべき
でしょうけど)

日経MJのセグメントと単純比較するのは安易かもしれませんが、
イノベーター理論が提唱された数十年前よりも、近年は流行に
どんどん乗っていこうとする人々が増加しているということが
明確になったと言えるんじゃないでしょうか。


この流行に乗る人たちの増加の背景には、ITの普及によって
情報の入手が容易になり、多様な商品の比較検討が可能に
なったこと、

しかし、

比較検討の評価方法(軸)が、機能や性能といった目に見える、
わかりやすいものではなく、イメージやデザインのような、
良し悪しが即座に判断できない、わかりにくいものになっている
こと

があるでしょう。

したがって、的確な評価が自分では下せず、識者の意見や
よく売れている商品を受動的に受け入れてしまうということ
でしょうね。


また、世代的に、和田秀樹氏のいう「シゾフレ人間」が
消費の主力層になってきたこともあると思います。

シゾフレ人間は、1955年頃以降に生まれた人々から
増加し始め、65年以降になると主流になってきた人々。
すなわち、現在50歳以下の人たちです。

シゾフレ人間は、テレビやマスコミ、周囲の意見に簡単に
染まってしまい、自分の意見や趣向を持たない。
つまり、主体性やアイデンティティ意識が弱い傾向があります。

また、シゾフレ人間は「今」がすべてです。

過去がどうであったかにこだわらない。
現時点で周囲と調和がとれていることが重要。
つまり、変わり行く「今」に自分を合わせ続けることを
選択する人です。

消費の多様化傾向が、過去数十年間言われてきましたが、
実は、むしろ消費行動は、再び大衆化が進んでいるのかも
知れません。

そして、消費者タイプとしては「こだわり層」に含まれる
「オタク」たちが、一種嘲笑を持って注目されるのは、
彼らの行動が反大衆的で際立って目立つからなのでしょうね。

投稿者 松尾 順 : 2006年01月20日 10:59

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