情報を知識に変えるためのフィルターを持つ

「マインドリーディング」では、
お客様(消費者)の心理をどうしたら的確に読めるのかを
追求しています。つまり、

「顧客心理の解読力」

を磨くことが目的のひとつです。

ただ、これだけでは、お客様のことをより深く理解できるように
なるに過ぎません。


マーケターとしては、新規のお客さまを獲得したり、
既存のお客様とより親しく、強固な信頼関係を築くために、
お客様の琴線に触れる商品やサービス開発や、
コミュニケーション戦略を展開したいですよね。

「マインドリーディング」では、この適用部分というか、
具体戦略への展開方法も視野に入れているのですが、
ここで必要とされるのは、言うまでもなく

「発想力」

でしょう。


では、「発想力」とは何でしょうか?

発想力は、最近特に注目されているビジネススキルですので、
ご存知の方も多いと思いますが、

「異質な知識の新たな組み合わせ」

のことですね。

つまり、発想力とは

「異質な知識量」x「組み合わせ力」

で表されると考えて良いでしょう。


上記の式のうち、「異質な知識量」は、
新たな発想を生み出すためのの原材料と言えます。
どんなに組み合わせ力が高くても、「異質な知識量」が
乏しければいい発想は生まれてきません。

そこで今回は、「異質な知識量」に焦点を絞ってお話します。

ポイントは、「異質な‘情報’量」ではなく、「異質な‘知識’量」
と表現している点です。

発想は、人の頭の中から生まれてくるものです。

したがって、単に日々流れていく情報をウオッチしているだけ
ではなく、脳内に「知識」として蓄積しておく必要があります。

そして、脳内に蓄積された様々な知識が組み合わさり融合する中で、
いわゆる「ひらめき」が出てくるわけです。

逆に言えば、どんなにたくさんの情報に触れているつもりでも、
「知識」として蓄積されなければ、新たな発想の原材料には
ならないのです。


さて、先日読んだ雑誌である著名人が、

「最近は、人の話を聞いていてもろくにメモを取らない人が多い。
インターネットで調べればわかると考えているのだろう」

というコメントをしていました。

こうした、後で調べればわかるといった受身の姿勢だと、
人の話、つまり情報は単にあなたの耳を素通りしていくだけです。
まず記憶に残らない。つまり、「知識」として蓄積されない。


そこで、情報を素通りさせず、自分の脳内に留めておく工夫が
必要となります。

もちろん、五感で取り入れたすべての情報を記憶することは
できません。脳みそがパンクしてしまいます。

ですから、情報を濾し取るための特定のフィルターを
意識的にアタマの中に置くのです。

私の場合は、心理学や社会学、人類学といった「フィルター」で
様々な情報をろ過しています。引っかかったものは「知識」として
脳内にしまいこまれます。
(無理に覚えようとしなくても、勝手に覚えます)

一方、引っかからなかった、自分にとっては価値の低い情報は
思い切って捨ててしまう。
(そうしないと、情報に追われてしまう(⌒o⌒;)


このような、情報を知識として蓄積するための類似の工夫として、
経営コンサルタントの泉田豊彦氏は、シンプルに

「知りたいことリスト」

作成しましょうと勧めています。

また、作詞家の秋元康氏は、無理に情報を蓄積しようとしなくても、
気になっていることがあれば、自然とたまっていくものだと
述べています。

大切なのは、「何に関心があるのか」を
自分で明確に認識していることでしょう。

これがフィルターを置くということであり、言い換えると
「情報を見る視点」を持つことを意味します。


「見るとは、二度見ることである」

という言葉があります。

人の目という感覚器官は、たくさんの情報を見ています。
しかし、それは「見えている」だけです。

しっかりと意識して「見る」ことによって、
初めて脳細胞が活性化し、記憶にとどめることができるんですね。

投稿者 松尾 順 : 2006年01月19日 11:59

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