顔見なきゃ、安心できない

一度も会ったことのない人と、メールや電話だけで仕事するのは、
なんだか胸のあたりがもやもやしませんか?

先日、神戸在住のWEBデザイナーの方と初めて仕事をする機会が
ありました。
それまで、お会いしたことのない、名前さえ知らなかった方です。

最初のうち、メールだけでやり取りしている間は、
彼との心理的距離がすごく遠く感じましたね。

その後、電話やり取りして彼の肉声を聞くようになると、
少し心理的距離が短くなり、彼が上京した折に直接会ったら、
いっきょにその距離が短くなったのを感じました。

胸のもやもや感が、直接会うことでようやく払拭されたんです。

結局、デザイナーの彼とは1度しか直接お会いしてませんが、
メールなり電話でやりとりしているときも、無意識に相手の顔を
浮かべていることに気づきます。

メールの人格、電話の人格、本人(に会った時)の人格は
それぞれ微妙に違いますよね。

そもそも、情報の質がまるで違います。

・メールだと、基本的に言語情報だけ。

・電話だと、言語情報に加えて、音声情報から得られる相手の感情
 を読む手がかりがある。

・直接会うと、言語情報、音声情報に加えて、顔の表情やしぐさ、
 着ている衣服など、感情や性格、価値観までも知ることのできる
 豊富な情報が入手できます。

特に、顔の表情や体の動きは、無意識に出てくることが多く、
コントロールが難しいのです。端的に言えば、うそをつけない。
ごまかせない。

また、人はそうした表情や体の動きから、相手の真意を敏感に
感じ取る能力を持っています。例えば、私たちは、
つくり笑いと本当の笑顔の違いがすぐにわかりますよね。

だから、本当の意味で相手を信頼し、安心して付き合うためには
直接会う必要があると私たちは(意識的、あるいは無意識に)
考えているのです。

一度でも会えば(もちろん繰り返し会う方がさらに良いのですが)、
相手の真意が現れる顔の表情や体の動きのパターンを学習すること
ができるからなんです。

要するに「顔見なきゃ、安心できない」ということなんですね。

では、インターネット上で積極的に面識のない人たちと
つながりあい、コミュニケーションしあうという行動は
どう説明できるのか。

私も考えてみますが、どなたか教えてください。(^o^)


そうそう、今日の話は、

ハーバード大学の心理学の先生、スティーブン・ピンカー氏の著作、

「心の仕組み」(NHK出版)

という本にインスパイアされて書きました。

投稿者 松尾 順 : 2005年12月08日 10:59

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トラックバック時刻: 2013年11月20日 23:55

コメント

表情を少しでも補完する意味で、
絵文字が出てきたんですね、きっと。

投稿者 しょうすけ : 2005年12月08日 23:28

そうですね。
絵文字がなかったら、メールのやりとりは殺伐なものばかりになってたかも知れません。(^o^)

投稿者 松尾順 : 2005年12月09日 09:29

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