デザインが主導する時代
今バカ売れしているビール(正確には雑種扱いの第三のビール)
は、キリンの「のどごし<生>」です。
2005年の1-9月の累計販売数量は、1911万ケース。
一番搾り(ビール)、淡麗<生>(発泡酒)が、それぞれ同時期に
3000万ケースを売り上げており、キリンは第三のビール分野でも
パワーブランドを構築できたことになります。
この売れ行きのおかげで、キリンのシェアが、トップのアサヒに
肉薄するところまで来たそうです。
さて、のどごし<生>が売れている理由、それはもちろん、
製品、プロモーション、営業など、マーケティングの各要素が
うまく組み合わされた結果ということでしょう。
ただ、キリンさんがどんなにプロモーションや営業に力を入れても、
最終的に購買決定をするのは消費者です。
またそもそも、日本のビールは味覚には大した差がありません。
ですから私は、のどごし<生>が売れている最大の要因は、
「ビールが飲みたいよ~~欲」
をそそるデザインにあると思います。
のどごし<生>のデザインの特徴は、
ビールそのままの見え方であること。
泡のシズル感もたっぷりの、
まさにエモーショナル(情緒的)デザイン。
ストレートに飲酒欲中枢を刺激しますよね。
一方、売れ行き不振でデザインを変更する羽目になったのが、
アサヒの「新生」です。
スーパードライに似せたシルバーなデザインですが、
スーパードライのブランドにおんぶしてもらおうとしたのが
敗因でしょう。
新生は、デザインだけでなく、名称も「アサヒ新生3」
と変更されて、現在プロモーション中です。
電車内広告でもよく見かけますね。
しかし、あいかわらず、センスはいいものの、
飲酒欲中枢を刺激するデザインではありません。
(実際の味は、悪くないと思います)
直感的には売れそうもないと感じてしまうのですが、
皆さんはどう思いますか
しかし、つくづくデザインがきわめて重要なマーケティング
要素になってきたのだと実感します。
日用品メーカーの花王の社長でさえ、
これからは「機能価値」ではなく、「情緒価値」を重視すると
発言していますし・・・
まさに、現代は、「デザインが主導する時代」になのでしょう。
*日経デザイン12月号では、「デザイン・マーケティング」
の特集の中で、上記に挙げたようなビールデザインの比較が
行われています。面白いですよ。
投稿者 松尾 順 : 2005年12月02日 12:51
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