誇らしさ

森ビルが実施した、六本木ヒルズに働く人対象の調査で
興味深い結果が出ていました。

「意欲や成果など、仕事にどの程度影響を与えているか」

という設問に対して影響度が高いのは、

高い順に、

「眺望の良さ」
「外観のデザイン性」
「社外からの評価」
「ステータス性」

となっています。

ビル供給業者として力を入れてきたハード面(機能、性能)
の評価である、

「オフィスビルの快適さ」

が低い評価であったことに、森ビルさんは当惑を隠せないそうです。
(日経産業新聞2005/11/09)

しかし、実は不思議な結果ではありません。

「オフィスビルの快適さ」は、先日書いた満足度レベルでいくと
「不満足要素」です。

つまり、快適でなければ不満足になりますが、快適であるから
といって満足が高まる、働く意欲がよりいっそう高まると
いうものでは本来ないのです。

慣れてしまえば、それが当たり前ということになるからですね。

さて、私は、むしろ、影響度が高かった項目「眺望の良さ」
「外見のデザイン性」などに興味を惹かれました。

これらは、ぶっちゃけ、他人に自慢できる点なのです。

「私のオフィスは六本木ヒルズなんですよ。」
(こんなオフィスで働ける私ってすごい・・・)

というわけです。

人々のライフスタイルや消費行動の背景には、

「外部に対する自分の評価を高めたい」

という欲求が強く働いているということが、
こうした調査でも明確に現れています。

これは、言い換えると、自分が持つ製品、関わるもの・ことに
「誇らしさ」を持ちたいということです。
誇れるものがあることが、自分の評価を高めてくれるからです。

元東大教授、現在丸の内ブランドフォーラム代表の片平秀貴氏の
ブランド論によれば、「誇らしさ」が感じられることが、
パワーブランドであるための要件のひとつなんだそうです。

「六本木ヒルズ」は、確かにその立地やデザイン性のおかげで、
他人に自慢したくなる、オフィスビルのパワーブランドと
なっていますね。
(回転ドアの事故で汚点がついてしまいましたが・・・)

投稿者 松尾 順 : 2005年11月10日 12:30

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コメント

松尾さん、やっと来ましたよ。木村美月の父です。MLでのメッセージありがとうございました。すごいですね、このブログオリジナルなのですね。ブックマークさせていただきます。
ヒルズは時々アカデミーヒルズ49Fのセミナーに参加するのですが、あのエリアに行って感じるのは、あそこで働いているであろう人々の、なんというか厭らしい選民意識です。中身は無いけど、とりあえずあの場所で働くことで得られるステイタスみたいなものでしょうね。紹介されているリサーチにも、そんなところが読み取れるのではないでしょうか。
そういえば、「離」の完了おめでとうございます。松尾さん、下川さん、渡辺好美さん、私の知り合いは飛んでもない高い場所へいかれてしまったようですね。
それでは、仕事にかかります。

投稿者 キムラ(@クロシオ胡蝶) : 2005年11月11日 09:27

キムラさん、コメントありがとうございました。
選民意識という点で、六本木ヒルズは際立っていますよね。

ところで、「離」を修了して高いところにいったのではありません。実は原点に戻ってやりなおしなんですよ。(^o^)

投稿者 松尾順 : 2005年11月11日 10:18

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