慣れると好きになる

焼肉を食べるのは、人類だけですね。

「人類」というのはオオゲサですが、実際、食べ物を火で
焼いたり煮たりするのは人だけです。

もちろん、「火」を扱えるだけの知能があるからこそですが。

しかし、人類という種が誕生して間もない頃は、食べ物は
「生」でのみ食べていたはずです。焼いたり、煮たりする
という発想は、当初は生まれなかったでしょう。

新鮮な生肉、刺身、野菜、果物は、今では最高のごちそう。
しかし、昔はそれが当たり前の食べ方でしたから、
わざわざ調理する必要性は感じなかったでしょう。

しかし、山火事などで焼けた動物の肉があり、それしか食べる
ものがなくて、いわゆる「焼肉」を「試食」してみた。たぶん、
案外いける味だった。(笑)

こうした経験が、人類が、火を使って調理する始まりだったと
考えられています。生肉もいいが、焼いた肉の味にも慣れ、
そして好きになったということです。

なぜこんな大昔の話を始めたかというと、人は慣れると好きに
なるという心理原則を説明したかったからです。

大昔じゃない、最新のケースとして次のような新聞記事を
見つけました。ポイントをご紹介します。

あんパンで有名な東京・銀座の「銀座木村屋」の長男、
木村周一郎さんは、ニューヨークやパリでパン作りの修行を積み、
2001年7月、東京高輪でフランスパンの店を開店しました。

ところが、当初はまったく売れず、お客さんからは
「あんパンが欲しい」と言われる始末。

そこで、木村さんは、毎日20本のフランスパンを焼き、
店頭でお客さんに配ったそうです。

おかげで、開店の年のクリスマスには、行列ができるほどの
繁盛店となりました。

これは、21世紀の実話ですよ。
フランスパンって、案外売れないものなんですね。
私はけっこう驚きました。

よく考えてみれば、フランスパンもまだまだ一般消費者に
広く浸透しているとは言えないですよね。
普段、私たちがよく食べるのは、食パンや調理パンじゃない
でしょうか。

結局、東京都心の住民でさえ、フランスパンにあまりなじんで
いなかった。だから、木村さんはフランスパンを毎日試食して
もらって、味に慣れてもらったのです。そしてフランスパンが
好きになったお客さんが木村さんの店に押し寄せるようになった
のです。

食べ物に限らず、試したことがないから、慣れていないから
購入しないという心理傾向が人にはあるわけですから、
なんとかして、

トライアルしてもらう工夫

がとても重要なんです。

投稿者 松尾 順 : 2005年10月27日 12:09

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コメント

あそこのクロワッサンは最高です。

投稿者 Taizo : 2005年10月27日 13:48

え、Taizoさん、店名出してないのにわかるんですか・・・!

さすがです。

田町に行くこともあるので、今度寄ってみます。
お勧めは、クロワッサンですね。

投稿者 松尾順 : 2005年10月27日 23:17

コレド日本橋にもありますよ。

投稿者 Taizo : 2005年10月30日 10:22

コレド日本橋ですね。
本郷の事務所から比較的近いですね。

ところが、最近はあまり縁がないのですよ・・・・

投稿者 松尾順 : 2005年10月30日 10:42

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