信頼と好意 Part4

人の好意を得るために重要なキーワードの最後は、
「自己尊重感」です。

「自己尊重感」とは「大切に思われたい」という感情のことです。
人は誰でも、この「自己尊重感」を持っています。

したがって、この「自己尊重感」を高める言葉や行為を行えば、
人は、そうしてくれるあなたに好意を持つのです。

では、お金も手間もかからないけど、相手の「自己尊重感」を
高める、とても効果の高いことは何でしょう?

それは、相手にとって最も心地よい言葉、
つまり「相手の名前」を呼ぶということです。
しばらく会っていなかった人が、自分の名前を呼んでくれた時って
すごくうれしくないですか?うれしいですよね。

人の名前を忘れやすい私には苦手なことなのですが、(^^;;、
トップ営業マンは、相手の名前を呼ぶことの重要さを十分に
わかっています。会話の中に意識的に相手の名前を織り込むことで、
相手の感情を心地よく刺激しているのです。

さて、自己尊重感を高めるほかの方法は、「贈り物」をすること。
下心見え見えのギフトでは当然だめですね。贈り物をする目的は
相手にこびることではありません。

相手に対する愛情や尊敬、感謝の気持ちを「形」に表すことが
贈り物に本当の価値を与えてくれます。もちろん、高価なモノで
ある必要はなく、相手の趣味嗜好に合致したちょとした小物でも
いいし、手書きのカードでもいい。

「あなたを大切にしたい」

という気持ちがきちんと伝わることが大事なんですね。

大企業がこの「自己尊重感」の重要性に気づいたのはついこの
10年間ほどのことでした。

コンセプトとしては、

CRM(Customer Relationship Management)

という3文字英語でカッコつけて話されてますけど、
要するに、お客様の自己尊重感を高めることが最大の目的であり、
そのことで「好意」を勝ち取り、長期的な取引関係を構築する
ことなんです。

投稿者 松尾 順 : 10:49 | コメント (0) | トラックバック

信頼と好意 Part3

「外見」に続く、人の好意を得るために重要なキーワードは、
「単純接触効果」です。

これは、一般向け心理学の本で良く取り上げられていますので
聞いたことのある方も多いでしょう。

社内結婚が多くなる理由でもあります。(^o^)
つまり、毎日顔を合わせていると、それだけで、
相手に対する好意が高まっていくという心理のことです。

心理学者の実験によって証明されている効果なのですが、
体験的にも納得できますよね。

営業マンが頻繁にお客さんところに顔を出すのは、
熱意を行動で示すということもありますが、やはり、
繰り返し会っているだけで、だんだん自分に馴染んできてくれる
という効果を狙っているわけです。

メルマガだって、月1回より、週1回、週1回より毎日発行される
ものの方が、より親しみを感じませんか?

ただ、そもそも双方の間に好意を形成できる素地が必要なことを
忘れてはいけません。

前回お話した「外見」に無頓着だったり、
残念ながら、相手とまったく性格や価値観が合わないような場合、
会う回数が増えることは、逆に嫌悪感を増幅させるだけに
なりますから。

メルマガも、売りつけたいだけのセールストーク満載の内容なら
しつこいと感じるだけですよね。

「去るもの日々に疎し」

ということわざがありますけど、人間は忘れっぽい動物。
しばらく音沙汰がないだけでどんどん相手との距離感が
遠ざかっていくものですよね。

逆に言えば、頻繁に会えば会うほど相手との距離感が近くなる。
相手の好意を得るためには、いろんな手段で、間をあまり
おかずに接触することが必要なのです。

さて、さらに続いて「親近効果」。

これについては、私は

「自己開示を通じた親近効果」

という視点でご説明しています。

ちょっと恥ずかしさが先に立つので、なかなかやりにくい方も
いらっしゃると思いますが、自己開示、
すなわち自分の生い立ちや興味関心、価値観、考えていること
などをどんどんさらけだしてみてください。

そうすると、相手は、あなたのことを深く知るにつれ、
親近感を持ってくれるようになります。

誰だって、知らない人に対しては警戒感を持ちますよね。
しかし、より相手を理解するにつれ、警戒感が薄れ、
好意を持つようになるわけです。

たとえば、会ったこともないブログ、メルマガの作者の中で、
すごく好意を持っている方はいませんか?

それは、しょっちゅうブログ、メルマガを見ているという
単純接触効果に加えて、
その作者の方の書いた文章を読むことによって
より深くその方を理解するようになった結果です。

そして、おそらく、その作者のなにかに自分との共通点や
類似点を見つけて喜んでいるはずです。

自己開示によって、自分についての様々な情報を提供すると、
いろんなところで共通点や類似点を発見しやくすくなる。

人は、同郷や同窓、同じ趣味といった共通点、類似点を
持つ人にも親近感を感じるし、積極的にそうした仲間を
探しているんですよ・・・

さて、次回は最後のキーワード、「自己尊重感」です。

投稿者 松尾 順 : 07:08 | コメント (0) | トラックバック

信頼と好意 Part2

「相手のハートをゲットする方法」の続きです。

「お客さんのハートをゲットする」と言うのは、
お客さんが自分の販売する商品を喜んで購入してくれる、
また繰り返し購入してくれるような、
「長期的な付き合いになる取引関係」を築くことでした。

そして、「長期的な付き合いになる取引関係」を築くための
2つのキーワードが、「信頼」と「好意」です。

前回は、信頼」を得る方法をご説明しました。
これは、一言で言えば「約束を守る」ことに尽きます。

では、相手の「好意」を得る方法です。
ポイントをキーワードで言えば次の4つ。

「外見」
「単純接触効果」
「親近効果」
「自己尊重感」

まず、「外見」
外見に気を配ることが、好意を得るために重要ってことです。

これは、言わずもがなのところありますが、

「中身さえよければ外見はあまり関係ない」

と気楽に考えている人が結構多いように感じます。

しかし現実には、人は、相手の外見だけで好き嫌いを
決めてしまう割合が高いんです。

好意、つまり好き(嫌い)という感情は、非合理的・直感的な
評価です。普通、美しいものを見ると心地よい感情が生まれ、
逆に、不潔なものを見ると不快な感情が出てきますよね。

もし、あなたに会いにきたセールスマンが不潔な格好を
していたとすると、無意識に不快な感情が湧き起こります。

すると、どんなに、その人が素晴らしい商品を売っていたり
弁舌さわやかだったとしても、まずうまくいかない。

頭では受け入れられても、心(感情)で受け入れられないと
いうことになるわけです。

もちろん、外見といっても、生まれつきのものは基本的に
どうしようもないわけですから、みだしなみや、姿勢、
ジェスチャー、表情の豊かさといったことに注意して、
相手に好印象を与える努力をするということになります。

このあたりのことは、社会心理学で「印象管理」と
呼ばれる領域で研究されてきたところです。

そうそう、実は生まれつきの外見のおかげで、
いい思いをしている人って実際いるんですよね。

例えば、アメリカの大統領選で勝利を収めた人のほとんどは
相手よりも背が高かったそうです。

また、童顔の人(実は私もそう)は、コドモっぽくみられるのが
いやで、ひげを生やしたりするわけなんですけど、実は、
コドモっぽくみえると、人は無意識に庇護意識が生じるのです。
特に女性はそうで、童顔の人は、赤ちゃんを連想させるので
いわゆる「母性本能」をくすぐるんですね。

以前、クリントン大統領が不倫スキャンダルを起こしたのに、
政治生命を絶たれるまでの大問題にならなかったのは、
彼が童顔だったからという説もあります。

こうした外見のことを見聞きすると、私はいつも小学生の頃に
読んだ一休さんの話を思い出します。

お金持ちの家に、みすぼらしい袈裟を着ていったら追い返され、
次に豪華な袈裟を着ていったら歓待された。
それで一休さんは、「あなたは衣装で相手を判断するのか」と
説教するという話です。

たしかに、中身の良し悪しをちゃんと評価できることが重要。

でも、中身をちゃんと評価してもらうために、まず中身を
くるんでいるパッケージ、つまり外見に気を配るというのは
やむを得ないことだと考えるべきでしょうね。

別の言い方をすると、たかが外見で相手に不快な思いをさせて、
好意を割り引かせてしまうのはのは、もったいないことだと
思いませんか。

長くなりましたので、残りのキーワードの説明は次回に。

投稿者 松尾 順 : 05:29 | コメント (0) | トラックバック

ダイソー、ユニクロ

ダイソーに半年振りくらいでしょうか、行きました。
いわゆる、「100均」と呼ぶ小売店の元祖ですけど、最近は、
200円、300円、1000円など、価格のバラエティがずいぶんひろがっていますね。

子供用の野球グラフが置いてあって、さすがに100円じゃないなとは思いましたが、
1000円の値札がぶらさがっていたのにはびっくりしました。

100円均一ストアは商品の鮮度が大切で、つまり「こんなのまで100円なの!?」
という驚きを与えるために、しょっちゅう目新しい商品を登場させてきましたけど、
さすがに100円で売ろうとすると、新商品開発にも限界があるんでしょう。

さて、ダイソーの次はユニクロへ。
ユニクロもやはり半年以上ぶり。

あいかわらずお客さんで込んでましたけど、どうも商品に面白みがないと
感じてしまいました。

別に私、ファッションセンスがあるわけじゃないんで、偉そうなことは
言えないんですけど。

ダイソーまで行かないまでも、ユニクロに「驚き」の要素が以前ほどは
なくなってしまったのはちょいと残念です。

投稿者 松尾 順 : 20:20 | コメント (0) | トラックバック

幽霊のような存在

フランスで、アフリカからの移民系の若者による暴動が
続いています。
夜間外出禁止令が出るほどの暴動が、先進国のひとつで
発生してしまうのは相当に大変な状態ですよね。

そんな中、移民系の若者が言った言葉が心に留まりました。

「俺たちは、幽霊のような存在。
 働き口もなく、誰からも認められない」

人にとって、自分の存在価値が認められないことほど
つらいものはないですよね。

暴動は、

「俺たちは幽霊なんかじゃない、ここに確かに生きているんだ」

ということを示すためのものでしょう。
(暴動自体は決して許されることではないですが)

身近なことにひきつけて考えると、
私たちは、お客さん、配偶者、友人、同僚、部下など、
周囲の人の存在を認めてあげることが、とても重要なんだなと
改めて思います。

ちょっと強引なひきつけ方ですかね。(笑)
 

投稿者 松尾 順 : 18:50 | コメント (3) | トラックバック

信頼と好意 Part1

今年度前期(4-7月)、私は、ある大学の2年生対象の必修科目
「キャリア・デザイン」の講義をやる機会がありました。

3年生から始まる就職活動に備え、学生さんたちに
仕事とは何か、働くとはどういうことか、を考えてもらいました。

カリキュラムの方向性は決まっていましたが、
実際の内容については、講師の裁量でかなり自由にできました。
そこで、硬軟いろいろな話を織り交ぜ、たまには結構脱線(^o^)
したのですが、学生さんたちの受けが良かった話に

「相手のハートをゲットする方法」

というのがあります。

相手というのは、お客さん、友人、あるいは付き合って欲しい
好きな異性でも良くて、要は、

社会の中でいい人間関係を築くためのコツを説明したのです。

いい人間関係を築くコツがわかっていれば、仕事もプライベートも
うまくいくし、幸せな毎日が送れるわけですから、
キャリアデザインの講義としては適切なトピックだったと、
私は思っています。

で、このメルマガでは、「お客さんのハートをゲットする方法」
として2回に分けてご説明したいと思います。

「お客さんのハートをゲットする」とはどういう状態かと言うと、
お客さんが自分の販売する商品を喜んで購入してくれる、
また繰り返し購入してくれるような、
「長期的な付き合いとなる取引関係」を築くことです。

けっして、巧みなセールストークとか手練手管で
「お客さんを落とす」ということではありません。

そして、「長期的な付き合いとなる取引関係」を築くための
2つのキーワードが、「信頼」と「好意」です。

まず、相手が私を「信頼」してくれなければ、
取引は始まりません。仮に、初回は購入してくれたとしても
信頼がなければ繰り返し購入はしてくれません。

ただ、「信頼」だけでは、長期的な付き合いは難しい。
他にも、同じくらい「信頼」できる人はたくさんいるから、
浮気されてしまう可能性があるんです。

したがって、「信頼」に加えて「好意」を得る必要があります。

では、まず相手の「信頼」を得る方法から説明します。

それは、相手が自分に基本的な要求や期待を満たしてあげること。

商品で言えば、相手が求める機能、性能、品質、価格のものを
提供することです。
また、あなた自身についていえば、約束の時間を守る、
納期を守るといったことです。

こうして得た「信頼」は、おおむね合理的・理性的な評価です。
実際のところ、やって当たり前のことですね。
だから、それだけでは足りない。

非合理的・感情的な評価である「好意」を勝ち得ていくことが
必要なのです。

では、どうやって「好意」を得るのか。

次のメルマガ(月曜日のブログ)でコツをご説明しますね。

投稿者 松尾 順 : 05:50 | コメント (0) | トラックバック

音入りじゃないとね・・・

最近リリースされた、電子ブック「万葉」はご存知ですか。
http://man-yo.com/index.php

紙の雑誌をそのままオンラインに持ち込んだイメージ。
このスタイルは、数年前からいろいろ試されてきましたが、
なかなかうまく離陸しませんね・・・

電子ブックは、普通のWebサイトよりデータが重くなるので、
ブロードバンド化が浸透してきたこれからが勝負でしょう。

さて、万葉の特徴は、専用Viewerにあります。
「Flipbook」というソフトウェアですが、パラパラ・・・という
ページをめくる「効果音」が入っています。

たいした仕掛けじゃないというか、そんな効果音が必要かな?
と最初は思っちゃいますよね。

でも実際試してみると、雑誌を読んでる実感があります。

紙質を感じる、つまり「手触り感」は実現難しいでしょうけど、
この音触り感が、電子ブックには必要だったのかも知れません。

これで思い出したのが、IBMが電子タイプライターを
開発した頃の話です。

当時の最先端の技術で実現したタイプライターは、
打音をほぼ無くすことに成功しました。
タイプライターの音でオフィスがうるさくならないですよ!
というわけです。

ところがぜんぜん売れなかった。
タイピストによると、打音が聞こえないので使用してる実感が
得られなかったんですね。実用には差し支えないのに、
なんか物足りないということだったんでしょう。

結局、IBMさんは、合成音の打音入りタイプライターを
再発売したということでした。

さて、話を戻します。

松岡正剛氏によれば、何千年もの伝統を持つ紙ベースの本は
メディアとして非常にパワフルであることを説いています。
つまり、人の生活・思考パターンに最も深く根付いている
メディアだということです。

したがって、他のメディア、特に近い表現が可能なWebサイトの
場合、いかに本というメディアに近い表現(音も含め)を実現
するかが成功の鍵になってくるでしょう。

投稿者 松尾 順 : 05:56 | コメント (0) | トラックバック

ブランド危機管理が難しくなってきた

ワコールオンラインショップの顧客データ約5千人分が盗まれました。
クレジットカードの情報が含まれていた顧客データも
2千人近くあったので不正利用されたお客さんもいます。

使った覚えのないカード請求がきたのでデータ盗難が発覚したようです。
単に盗まれただけでなく、顧客側に実害が発生したのでワコールさんと
してはブランドイメージの低下に確実につながる痛い事件ですね。

しかし、問題の原因はECサイトの制作を委託していた会社に、
セキュリティ対策の漏れがあったんですよね。

もちろん、ワコールさんに管理・監督責任があり、
制作会社の失態ということで言い逃れはできません。

ですが、自社ではできない、すべきでない専門的な分野だから
外部に委託していたわけで、完全なチェックは不可能。
相手を信頼して任せるしかないわけです。

ワコールさんに限らず、サイトの制作は普通外部の制作会社に
任せている会社がほとんどでしょう。あるいは、製品のお届けは、
運送会社に委託しているでしょう。

事業運営は、基本、自社の強み(コアコンピタンス)の領域に集中して
他の部分は外部に任せるというのが理想とされてるわけですけど、
そうしてどんなに分業化を進めても、お客さんから見えるブランドは
ひとつだけ。

今回で言えば、ワコールのブランドの下で、
たくさんの外部の会社が関わっているというのが実情なわけで、
大きい会社ほど、ブランド危機管理がますます難しくなってきたということを
改めて認識させられましたね。

投稿者 松尾 順 : 10:33 | コメント (0) | トラックバック

みだぐなす

「みだぐなす」

と呼ばれていたフルーツがあります。何だかおわかりですか。

フルーツのブランド化の例として結構有名なケースなんですが、
「西洋梨」のことです。ブランド(品種)名は「ラ・フランス」。
フランス生まれの山形育ち。

今が旬のようですね。
我が家でも、生協を通じて今週届いた「ラ・フランス」を
食後のデザートにいただいていますが、
柔らかい果肉の食感としつこくない自然な甘さが最高ですよね。

さて、「みだぐなす」というのは、「見栄えのよくない梨」
という意味の方言です。

真実かどうか調べ切れなかったのですが、
味はおいしいけれど、見栄えがよくないこのフルーツの名前を

「ラ・フランス」

という名前にしたことでブランド化し、人気のフルーツに
なったと言われています。

最近、農産物や海産物のブランド化が盛んになってきましたが、

「みだぐなす→ラ・フランス」

の例はそのはしりといえるでしょう。

この「ブランド化」は、シンプルに言うと「ブランド認知」
「ブランド連想」「ブランド好意」の3つの視点で見ること
ができます。

「ブランド認知」は、その名前を聞いたことがある・知っている
ということ。

「ブランド連想」は、その名前を聞いた時に思い浮かぶ
様々なイメージ。

「ブランド好意」は、その名前を聞いた時に、
良い、好き、食べたい、とかの好意的な感情の度合い。

したがって、ブランド化に成功するために、
ネーミングがとても重要なことはおわかりでしょう。

そして、ブランド化の視点でのネーミングのチェックポイントは
次の通りです。

・覚えやすいネーミングか?
・名前が良いイメージを喚起するか?
・名前が好意的な感情を喚起するか?

このチェックポイントで、「みだぐなす」と「ラ・フランス」
を比較するとどちらが優れているか、すぐわかりますね。

重要なのは、「みだぐなす」は、この方言の意味がわからない人
にとっても、日本語の語感的に、なんとなくさえないイメージや
不快な感情を喚起してしまう名前だといういうことです。

ブランド化を狙って商品名をつける際には、
言葉の持つ「意味」以前に、音として聞いた時に、
人にどんなイメージや感情をわきあがらせるのか、
という点に注意が必要なんです。

話が飛びますが、ゴジラ、ガメラとか、怪獣の名前には
不思議なことにガ行、つまりガ・ギ・グ・ゲ・ゴが多いですね。

ガ行がつくといかにも怪獣らしい語感になるからです。
このことをテーマにした本も出ていますね。

投稿者 松尾 順 : 05:58 | コメント (0) | トラックバック

変えないところ、変え続けるところ

以前、沖縄にセミナーの講師として出張した時、
とても好きになった小料理屋がありました。
セミナーのアシスタントをやってくれた方の紹介でした。

「子福」という名前のお店です。
なんかあったかい店名ですよね。
カウンターが8席くらい、お座敷3卓くらいの大きさです。

年の割(失礼)には、かわいらしい感じのママさんの
素朴な客あしらいには心が癒されましたし、
ママさんのお姉さんがつくる料理はなかなかおいしかった。
時々、ママさんの娘さんがカウンターの手伝いをしていました。
そこそこ食べて飲んで、客単価5千円程度。

「子福」には、際立った特徴はありませんが、
また来てもいいかなと思わせる安心感がありました。
たぶんいつ来ても、上記に書いたような点は変わらないだろうから。

そして結局、その出張の時、
私たちは2日間連続で通ってしまったのです。

なぜそんな気持ちになったかおわかりでしょうか。

お手洗いに入ると、洗面台の壁に色紙が貼ってありました。
ママさんがちょっとした言葉を書いているのです。日替わりです。
聞けば、開店前に時間を見つけて書いているとのこと。

あいだみつおの言葉のような、印象的な内容ではないけれども
ママさんの人柄がにじみでる色紙の言葉をまた明日も読んでみたい。
そう思って2日目も、ふらふらと子福に行ってしまいました。

人の欲求は、矛盾を抱えています。
相反する欲求を同時に持っているのです。

例えば、変わらないことから来る安心感と、
変化することからの刺激の両方を同時に求めています。
おそらく、たいていの人は、8割くらいは安心を求め、
2割程度の刺激を求めるんじゃないかと思います。

「子福」さんの場合、食事やサービスといった変わって
欲しくないところと、色紙のちょっとした変化のバランスが
絶妙だったのでしょう。
実際、色紙見たさに常連になるお客さんがいたようです。

私も、沖縄に今度行ったら、「子福」さんに立ち寄って
また、あの色紙が見たいと思い続けています。

色紙を毎日書き続けるのはちょっと面倒ではあるけれど、
良く考えると、その程度の工夫で「ちょっとした変化」を
生み出せて、常連客を増やせるとしたらなんでもないことですね。

投稿者 松尾 順 : 05:02 | コメント (0) | トラックバック

東京中華思想?

熊本出張の帰り、実家福岡に立ち寄りました。

普段は2,3年に1回程度しか帰郷できませんが、
今年はこれで2回目。

懐かしいふるさとをちょっとだけ堪能しました。

さて、このブログを書くようになったおかげで、
なにごとにも問題意識を持つようになったというか、
深く考えるようになったのですが、やはり田舎の生活は
明らかに都会と違うという点を実感しました。

感覚的な書き方であることをあらかじめお断りしておきますが、
たとえばこちらでは日経新聞を読んでいる人はすごく少ないということ。

実家でも「西日本新聞」という地方紙しか購読していません。
私が、中学生や高校生のころ、新聞配達のアルバイトを
していましたが、当時でも日経新聞を購読している人は少なかった。
多分、それは今でもそれほど変わっていない。

何を言いたいかというと、地方では東京にいると感じられる
ビジネスビジネスという感覚がほとんどないということです。

もっとみんな生活生活してるんです。

特に実家あたりは久留米市の隣町ではありますが、
都市部ではありません。主力産業は農業です。

いわゆる「政治経済」に対する関心は
普段は決して高くないと思いますl。

東京での仕事で、マーケティングの企画を立てる時、
まずは、ターゲットとなる消費者像を思い浮かべるのですが、
ついつい、都会暮らしの人々の生活にしか思いが至らないことに、
田舎に帰ると気づかされます。

まあ、「東京中華思想」みたいなものに毒されていると
言えるんじゃないでしょうか。

投稿者 松尾 順 : 03:57 | コメント (0) | トラックバック

100ドルパソコン

MITのネグロポンテ教授の構想だった「100ドルパソコン」が実現しそうですね。
途上国やスラム、過疎地の子供たちが入手できる、使えるパソコンとして設計
されているものです。

・基本ソフト(OS)は、リナックス
・カラーディスプレイは安価なリアプロジェクション方式(背面投射型)
・電源は手動発電方式。パソコンについているハンドルを1分間回すと10分間使える
・CPUの動作周波数は500メガヘルツ程度、ハードディスクの容量は小さめ

ただし、1台百ドル以下にするには、100万台の発注が必要とのこと。
途上国の国家予算で購入される量では足りないかもしれません。
そもそも100ドルでも高すぎる国もある。

ということなら、別に途上国だけでなくて日本とかでも小学生のおもちゃとして
発売するという方法もありますね。パソコンに慣れ親しんでもらうために。
ただ、リナックスベースなのであまり使いやすくないかも。かえってパソコン
嫌いを作ってしまわないように注意する必要があるでしょう。

なお、このパソコンは無線LAN方式です。アクセスポイントに近いパソコンから
パソコン同士がどんどん無線でつながると全員がネットに接続できる方式
だそうで、災害で電気が使えないような緊急時、バッテリーがなくなっても
OKなパソコンとしての使い道もありそうです。

投稿者 松尾 順 : 10:59 | コメント (0) | トラックバック

口コミパワーと正直戦略

商品比較サイト、カカクコムの業績が急回復していますね。
(日経産業新聞、2005/11/18)

今年5月、不正アクセスで一時閉鎖を余儀なくされたものの、
直近の四半期(7-9月期)は売上高前年同期比5割増、
経常利益は同4割増。

サイト利用者数も、サイト閉鎖前を上回る勢い。

不正アクセス発生時の対応はやや手際が悪く、
顧客離れが懸念されましたけど、杞憂に終わったようです。

カカクコムは、同じ製品なら安く買いたいという消費者ニーズ
に応えることができるのが強みですが、同時に製品に対する
購入者やその道のプロ(オタク)による評価、つまり口コミ
情報の豊富さが魅力です。

多種多様な商品があふれる今、どの商品を買うべきかという
比較検討は素人にはとても難しい。

なぜなら、目に見える機能・性能面での違いは
ごくわずかになってしまっているからです。
ところが、このごくわずかの違いが、
使い勝手に大きな差を生んでいたりします。

たとえば、デジタル商品の場合、プログラムのちょっとしたバグが
とんでもない問題を引き起こします。
ですから、ユーザーは口コミ情報を大いに参考にしますし、
また頼らざるを得ない。

さて以前なら、商品の不具合があると、それがよほどのトラブル
を引き起すものでない限り、メーカーはこっそり個別対応して、
マスコミに騒がれることから逃れようにしてました。

しかし、現在は素人ユーザーがカカクコムやブログなどを通じて、
たちまち不具合を白日の下にさらしてしまいます。
したがって、これまでのように、
メーカーが密かに穏便に事を済ませることは無理になりました。

今、メーカーがやるべき行動は、ユーザーの利益を最優先に、
正直にすべてを公開することでしょう。
「嘘つき」は最も嫌われるからです。(当たり前すぎますね)

つまり、口コミパワーに対抗できるのは、
「正直戦略」しかありません。

でも、社内事情が優先してしまって
なかなか正直になれないのが現実のようですけどね。

投稿者 松尾 順 : 07:05 | コメント (0) | トラックバック

そよ風マーケティング

ラスク(フランスパンの切片に砂糖などをまぶして焼いたもの)
の通販で成長を遂げ、7月にジャスダックに上場を果たした
「シベール」では、自社のマーケティングスタイルを

「そよ風のマーケティング」

と呼んでいます。(日経MJ、2005/11/17)

マス媒体の広告を使わない、
コールセンターからの電話営業もしない、
ダイレクトメールも中元、歳暮の2回だけ

顧客の口コミでじわじわと知名度を上げる

というソフトなマーケティングなのです。

シベールは、もともとは山形で、パン製造やレストランを
経営していた会社です。94年に通販を開始する時、
食通や文化人100人にラスクを配り、いわゆる
「インフルエンサー(影響者)」を通じた口コミに成功しました。

現在、同社はたかだか1枚30円のラスクで年商約39億円、
経常利益率14%という驚くべき利益率を維持しています。

同社のラスクは試したことがないのですが、そもそも
味で大きな差別化は難しいと思います。

それでも、これだけの売り上げ・利益を確保できている秘密は
顧客を信用し、また顧客のメリットを優先しているからでしょう。

その表れのひとつが、商品到着後の支払いを原則とする
「納得納得保証制度」です。
商品を食べてみて納得したらお金を払えばよいのです。

インターネット通販などで実際に購入されたことがある方なら
共感いただけると思うのですが、前払いと後払いの場合、
後払いは、「安心感」と「信頼されている感」の両方を与えて
くれます。

逆に「前払い」は、顧客を信用できない、疑い深い企業姿勢が
透けて見えます。

私たち消費者の大多数は、善良な市民です。

たとえ相手が企業でも、裏切ったら長期的にはペイしないこと
をわかっています。またそんなひどいことをする自分を
受け入れることは実はとてもつらいのです。

だから、自分を信じてくれる企業には、こちらもその期待に
応えようとします。
日常生活でも、原則としてお互いの信頼を前提に皆そのように
振舞っているから、当然の行動なんですね。

数百万円、数千万円の取引ならともかく、数千円程度の金額で
なぜ前払いを要求する企業があるのでしょうか。
おそらくそうした企業は、さらに成長するチャンスを
失っているのではないでしょうか。

実際、シベールの場合も、年間の貸倒率は0.1%だそうです。
顧客を信用し、顧客のメリットを優先することが、
実際には高い業績として跳ね返ってくるんですね。

おそらく、シベールとその顧客の間には、
さわやかなそよ風が吹くような関係が成立しているのです。

投稿者 松尾 順 : 12:42 | コメント (6) | トラックバック

顧客の心理特性別セグメント

以前から、性、年齢などの基本属性に基づいて顧客をセグメント
(グループ化)するだけでは、十分ではないと言われてきました。

そもそも、セグメント(グループ化)することの意義は、

・同一グループ内の人たちはできるだけ似た者同士であること
・他のグループとはできるだけ異なっていること

です。

これら2つの条件が満たされていればいるほど、
顧客セグメント別に効果的・効率的なコミュニケーションが
可能になってきます。

しかし、男性と女性という性別によるシンプルなセグメントを
考えてみるだけでもおわかりになるように、
性別で分けるだけで、上記2つの条件が満たされる商品・サービス
はそれほど多くありません。

ただ、最近になってようやく、基本属性だけでなく、
性格や価値観、ライフスタイルなどの「心理特性」を
元にしたセグメントが実用化されるようになってきました。

たとえば、ITベンチャーのゴールネットさんは、
不動産業界向けの会員組織運営システムにおいて、
顧客の心理特性に基づくコミュニケーションを可能にしています。

同システムでは、会員登録者に対してアンケートを行い、
「何に対して財布を開きやすいか」を分析して顧客を7つの
セグメントに分けます。

そして、

「家族が何より大事」という価値観を持つ顧客には家族団らんを
「自分への投資」という顧客には、物件の資産価値をうたう
案内メールを送るといったことが可能だそうです。

また、顧客心理を分析するものとしては、
「サイコメール」というサービスが今年の10月に登場しています。

これは、携帯メールなどの文章を「音相理論」なるものに
基づいて分析し、そのメールの送り手の気持ちや感情を
教えてくれるというものです。

ですので、この仕組みを使えば、顧客のメールから想定
できる心理属性別セグメントが可能になります。

また、サイコメールは、逆に利用すれば、
こちらの感情や気持ちを的確に伝えるメールの文章が作成できる
ということでもあるので、効果的な広告文の作成に使えそうです。

考えてみれば、従来の基本属性によるセグメントは、実は
男性だったら、あるいは女性だったらこんな価値観で購買を決定
するだろう、という心理特性と基本属性を関連付けることで
代替してきただけなんですね。

したがって、ある程度、直接顧客の心理を読むことが可能なら、
積極的に心理属性別セグメントを利用すべきでしょう。

投稿者 松尾 順 : 13:18 | コメント (0) | トラックバック

たまにはアナログ

昨日のメルマガ(ブログ)で、お客様に手書きの手紙やはがきを
送るのが効果的といったことを書きました。

人の温もりを失わせるデジタルメディア全盛時代だからこそ、
逆にアナログが希少になるんですよね。
普段のやりとりは、まあデジタルでもいいけれど、
たまにアナログの暖かさがあると心がほっとします。

この効果を積極的に活用している会社もありますね。
例えば、最近急成長している某通信販売会社は、
顧客に送る手書きの手紙を毎日ひたすら書き続ける社員を
5、6名雇っています。

目先のコストは高くつくように見えますが、この会社では、
そうした人を感じさせるコミュニケーションがリピート顧客、
ロイヤル顧客の育成につながると確信しているんですね。

さて、アナログの必要性が見直される中で、高級手紙用品も
売れているようです。

老舗封筒メーカーの「ハグルマ封筒」は、2001年に
高級品を扱う「ウイングド・ウィール」を表参道に出店。
当初から売り上げ好調で、2006年9月期の売上高は
前年度4割増しを見込んでいるそうです。

携帯電話やEメールの普及で、個人の封筒やはがきの利用は激減
しましたが、単なる社交辞令ではなく、きちんと自分の気持ち
を託したい特別の機会には、やはり、デジタルじゃなくて
アナログメディアを使いたいと思いませんか。

企業だって、コストを考慮すると、いつもというわけには
いかないけれど、時々は目先をかえて強い印象を与えるメディア、
つまり郵便を使う価値を見直し始めているのです。

そして、上記のような場合、手紙やはがきの素材は、
和紙100%のものや、洗練されたデザインのものが選ばれます。
価格の安さはあまり問題ではありません。

企業側から見れば、価格競争から脱することができるわけです。

投稿者 松尾 順 : 12:20 | コメント (2) | トラックバック

最も希少な資源

■希少な資源ほど価値が高い。

言うまでもないことですね。

例えば、ダイヤモンドや金などは、非常に限られた量しか産出
しないから、高額で取引されるわけです。
(ただし、ダイヤモンドについては世界的なカルテル機構が
 市場流通量を少なめになるようコントロールしているんですが)

しかし、一般の人にとって、ダイヤモンドは実用品ではなく
装飾品であり、装飾品に関心のない人はあまり価値を感じません。

ところが、誰にとっても、最も希少な資源といえるものが
あります。

それは「時間」です。

生まれてから死ぬまで、一人ひとりの人生はおよそ数万時間で
尽きてしまうことが、運命的には決まっているからです。
生まれたら、ただただ砂時計が落ちるように減っていくばかり
なのが、人生における「時間」なんですね。

いつ死ぬか、普通はわからないし、また考えたくもないので
時間は無限のように勘違いしてしまっているかも知れません。
若い頃は特にそうで、無為にだらだらと時間を過ごした時期も
ありましたよね。(笑)

しかし、人はだれでも本能的に、人生時間は有限であり、
時間が最も希少でかつ大切な資源であることをわかっている
と思います。

その典型的な人が「いらち」と言われるような短気な人です。
何事もすぐにやらないと気がすまない。あるいは、他人の
仕事が遅かったり、待たされると爆発するような人。

彼らは、

「私の時間を無駄に消費させるな」

という怒りを素直に表に出してしまう人なんですね。

また、売れ筋の商品やサービスの特徴として
常に上位に来るのは「利便性」ですが、
これはまさにお客さんの時間を節約してくれるからです。

特に現代は、いろいろとやりたいこと、やるべきことが
あふれているので、なおさら、自分の時間を無駄にしないですむ、
あるいは節約できる商品・サービスが求められているといえます。

逆に、時間が最も希少な資源であるなら、それをお客様のために
使うことが高い付加価値を生み出すことにもなります。

例えば、お客様への誠意を示す一番の方法は、人がお客さん
のところに出かけていくことです。お客さんはわざわざ、
時間を使って来てくれたことを喜ぶんですね。

最近、ある輸入車の販売ディーラーでは、営業マンが
既存客のところへ積極的に訪問するようにしたそうですが、

「オーナー様のために私の希少な時間を喜んで使います」

という姿勢を見せることがリピートや口コミにつながると
踏んでいるわけです。
(あからさまな売り込みのための訪問は違いますよ・・・)

もし実際に訪問できなければ、次善の策として手紙、
それも手書きのものがお客様を喜ばせます。

これもやはり、人が手で書くための時間をわざわざ
私のために使ってくれたということが感じられるからです。

私は常々感じているのですが、インターネットの会員制
サービスで、誕生日やお正月にグリーティングカードや
Eメールを送付するのは無意味だからやめた方がいいです。
(誕生月限定の割引とか、プレゼントがあるなら別ですが)

システムで機械的に処理され、送付されるグリーティングカード
には、自分のために誰かが時間を使ってくれた感がまったく
感じられないので、ありがたみゼロなんですよね。


そう思いませんか?

投稿者 松尾 順 : 12:41 | コメント (0) | トラックバック

目に注目!

先日、車を運転していた時に、どこかの中古車の販売店の看板に
に目を奪われました。

でっかい人の目が描かれているものでした。
ちょっと気持ち悪いけれども、思わず注目してしまいます。
まさに無意識にです。

そういえば、あるクリーニングチェーンの看板には、30歳くらいの
知性的な、でもちょっと近寄りがたい美人女性の顔が描かれて
いますが、これも「目」がとても印象的なんです。

人間の赤ちゃんは、生まれてわずか30分で、親の複雑な体や
顔の中から、「目」を認識することができるようになるそうです。

以前も書きましたが、誰かを文字通り注目させたかったら、
こちらも「目」を使うことが有効といえそうです。

このことについては、また日を改めてちゃんと書きたいと思います。

投稿者 松尾 順 : 21:28 | コメント (0) | トラックバック

カレーのおいしいカレー屋

夕方、仕事の都合で池袋に立ち寄りました。

お腹が空いたので、何か食べようと東口を出ました。
池袋は、学生時代にずっとバイトしていた場所なのですが、
最近はめったに行きません。

あてもなく食べるところを探していたら、

「カレーがおいしい店」

という看板が目に入りました。

見ると、カウンター10席ほどのカレー屋。
おばさん2人が営業している何の変哲もないお店です。
立ち食いそばとほとんど同じレベル。

「やみつきになる味」というチラシも貼ってあります。
つい、ふらふらとその文句に誘われるようにその店
に入りました。

確かにそこそこおいしいけれど、やみつきになる
ほどではない味のカレーを食べながらふと考えました。

「カレーがおいしい」と自ら謳うカレー屋さんてすごい。
カレーしかおいてないカレー専門店で、カレーがおいしく
なかったらどうするの・・・

常識を打ち破る宣伝文句ですね。
普通は矛盾を感じるし、恥ずかしくて書けない。

でも、言ったもん勝ち。

不思議なことに、たとえ売らんがための単なる宣伝文句でも、
厚顔にも、「おいしいよ」「やみつきになるよ」と
言われてしまうと、信用したくなってしまうものなんですね。

このお店、昼間の暇な時間、つまりアイドルタイムには
100円のキャッシュバッククーポン(次回使える)を
渡していたり、紙のメンバーカード(ポイント制)を発行
しているなど、実は、かなりのマーケティング巧者です。

チェーン店とかではなさそうなのに、
しっかり考えて経営しているんだなあ。

投稿者 松尾 順 : 10:11 | コメント (0) | トラックバック

黒い飛行機に乗りますか?

来年2006年3月16日に羽田-北九州線のフライトを始める航空会社
「株式会社スターフライヤー」のことはご存知でしょうか。
http://www.starflyer.jp/index.html

まだ、あまりマスコミに取り上げられることがないので、
知名度は低いでしょうね。

さて、スターフライヤーの特徴は、黒い機体。

「広大な宇宙」、「21世紀のモダンエアライン」というイメージ
に基づき、コーポレートカラーを「黒」に決めてあるのです。

この記事に機体のモデルが移っています。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0505/17/news044.html

Webサイトも、黒基調のモノトーンなデザインですよ。

うーん、確かにクール。かっこいい。
でも、ちょっと抵抗感じませんか?

「黒」は、世界共通でネガティブなイメージを連想させる色です。

飛行機は、事故の発生率では自動車なんかより
はるかに低いのですが、ひとたび事故になると大惨事になりがち。

飛行機に乗るときはいざという時に逃げ場がないので、
大げさですが必死の覚悟で乗るという人がいます。
離陸の時に脂汗をかくという人もいるんですよね。

こんな乗り物に、不吉な印象のある「黒」を採用するのは、
かなり大胆です。そこが狙いでもあるようですが・・・

ここで、

「色で売る-カラーマーケティング入門」
(高坂美紀著、ビジネス社)

で「黒」のイメージで見てみます。

<ポジティブなイメージ>
強い、究極の、立派な、伝統的な、品格のある、威厳のある、
美しい、重厚な、低音の、男性的な、高級な、高品質の、夜の

実績も信用もゼロ、これから作っていく新規航空会社としては、
「黒」を採用することで、昔からやっている伝統のある会社的
なイメージを早期に形成することに寄与しそうです。

ターゲットとする利用者もビジネスパーソンですから、
その点でもずれはないですね。

しかし、ダークサイドを見ると・・・

<ネガティブなイメージ>
暗い、つまらない、重々しい、重い、むずかしい、悲しい、
おそろしい、不幸な

「黒」はとても強い色だけに、ネガティブ面も強烈ですね。

果たして「吉」と出るか、「凶」と出るか。
来年になればわかりますね。

ただ、ひとつはっきりしていることがあります。

それは、

「絶対に事故を起こしてはならない」

ということです。

一度でも事故を起こしたら、その事故と黒が連結され、
その連結を消すことはたぶん無理になるからです。

投稿者 松尾 順 : 11:54 | コメント (2)

誇らしさ

森ビルが実施した、六本木ヒルズに働く人対象の調査で
興味深い結果が出ていました。

「意欲や成果など、仕事にどの程度影響を与えているか」

という設問に対して影響度が高いのは、

高い順に、

「眺望の良さ」
「外観のデザイン性」
「社外からの評価」
「ステータス性」

となっています。

ビル供給業者として力を入れてきたハード面(機能、性能)
の評価である、

「オフィスビルの快適さ」

が低い評価であったことに、森ビルさんは当惑を隠せないそうです。
(日経産業新聞2005/11/09)

しかし、実は不思議な結果ではありません。

「オフィスビルの快適さ」は、先日書いた満足度レベルでいくと
「不満足要素」です。

つまり、快適でなければ不満足になりますが、快適であるから
といって満足が高まる、働く意欲がよりいっそう高まると
いうものでは本来ないのです。

慣れてしまえば、それが当たり前ということになるからですね。

さて、私は、むしろ、影響度が高かった項目「眺望の良さ」
「外見のデザイン性」などに興味を惹かれました。

これらは、ぶっちゃけ、他人に自慢できる点なのです。

「私のオフィスは六本木ヒルズなんですよ。」
(こんなオフィスで働ける私ってすごい・・・)

というわけです。

人々のライフスタイルや消費行動の背景には、

「外部に対する自分の評価を高めたい」

という欲求が強く働いているということが、
こうした調査でも明確に現れています。

これは、言い換えると、自分が持つ製品、関わるもの・ことに
「誇らしさ」を持ちたいということです。
誇れるものがあることが、自分の評価を高めてくれるからです。

元東大教授、現在丸の内ブランドフォーラム代表の片平秀貴氏の
ブランド論によれば、「誇らしさ」が感じられることが、
パワーブランドであるための要件のひとつなんだそうです。

「六本木ヒルズ」は、確かにその立地やデザイン性のおかげで、
他人に自慢したくなる、オフィスビルのパワーブランドと
なっていますね。
(回転ドアの事故で汚点がついてしまいましたが・・・)

投稿者 松尾 順 : 12:30 | コメント (2) | トラックバック

パソコンテレビは従来のテレビを超えるかも?

以前にもちょっと書きましたが、無料ブロードバンド放送、
通称‘パソコンテレビ’「GyaO(ギャオ)」は
もう体験されましたか?

昨日の日経産業新聞によると、その成長ぶりはすごいものが
あります。

登録会員数は380万人を突破。
平均年齢38歳、男女比は8対2です。

圧倒的に男性が多く、年齢も高めです。
これはなぜなんでしょうね?

番組内容は、ニュース、映画、ドラマ、音楽、スポーツ、
ビューティ&ヘルス、アニメなど、男女、あらゆる年齢層を
カバーするバラエティに富む内容なんですけどね。
決して、「色もの」に偏っているわけではありません。

さて、ギャオは、一般のテレビ番組と同様、広告収入によって
運営されるわけですが、画期的なのは登録者の属性別CMが
可能な点です。

例えば、コマーシャルの出稿を決めたライオンさんは、
来年初めから次のようなコマーシャルをギャオで流します。

20代前半~30代半ばの女性 → 髪のスタイリング剤
35歳以上の男性 → 育毛剤

一般のテレビ番組の場合、たまにアンケート調査をやるくらい
しか視聴者の属性を把握できませんでした。個別の番組の
視聴者の属性を知るのは実質不可能。

こんなタレントが出演するトレンディドラマだから、20代女性
が主体だろうといった推測がかなり入っています。

ところが、ギャオの場合、特定の番組を見ている人の属性が
確実にわかります。
(登録内容は自己申告ですから、100%事実ではないでしょうけど)

したがって、視聴者にとっても、自分にとってより関連性の
高いコマーシャルが流されるので、注目率も高くなりますね。

逆に言えば、関心の低い、見たくないコマーシャルが減ります。
コマーシャルの情報価値、有用性が高まるということです。

しかも、番組をビデオにとって、コマーシャルをスキップする
ということもできませんので、コマーシャルがほぼ確実に
見られることになる。(コマーシャル中は、別ウインドウで
他のサイトを見たり、メールチェックなど可能ですけどね)

ただ現状では、把握できる属性が、いわゆるデモグラフィック
属性、つまり性別、年齢などの基本属性にとどまっています。
コマーシャル内容と視聴者との関連性が、
従来よりもかなり改善されるとは言え、まだまだ不十分でしょう。

35歳以上の男性が全員、育毛剤に関心を持つことは
ないですからね。(笑)

ギャオとしては、今後、サイコグラフィック属性
(興味、関心、性格、価値観)などにも踏み込んでいくことを
当然考えているでしょう。

ちなみに現在、ギャオを視聴するために登録を求められる内容は
次のとおりです。

・性別
・郵便番号(居住地域がわかる)
・生年月日(年齢がわかる)
・Eメールアドレス
・職業
・世帯構成(未既婚、子供の有無など)

さてさて、こうしたギャオの成長ぶりを見て
既存のテレビ局は、戦々恐々としているでしょうね。

カニバリ(共食い)を恐れることなく、自らパソコンテレビ
に積極展開するしかありません。

また、これまで放送枠を握ってきた大手広告代理店さんも
利権が失われます。

対策を打つ余裕はまだまだあるとは思いますが、のんびりとは
していられなくなってきていることは間違いありません。

「人の行動と心理」に興味のある私としては、
パソコンテレビの視聴行動や心理変化に注目していきたいと
思っています。

投稿者 松尾 順 : 12:08 | コメント (0) | トラックバック

電話かEメールか、それが問題だ!


最近、WEBサイト構築の仕事で、アートディレクターの方と
電話やメールで一日に何十回と連絡を取り合った時、
そのアートディレクターからこんなことを言われました。

「松尾さんは、Eメールでは冷静だけど、電話では感情的になるね。
 逆に、私は、電話で冷静だけど、Eメールでは感情的になる。」

確かに、このアートディレクターさんのEメールは、
たまに「おいおい!」と言いたくなるほど文面がきつい。(笑)
ところが、電話では、私のなだめ役に回っている!
(ちょっと愚痴りたくなる、大変な仕事だったのです・・・)

考えてみれば、日常のコミュニケーションで、話し言葉と
書き言葉をこれほど頻繁に併用するようになったのは、
Eメール登場以降です。

以前の書き言葉は、手紙、ハガキだったわけですが、
私のような悪筆や、面倒くさがりやには使いこなせない
メディアでした。

ですから、普段のコミュニケーションは、直接会って話すか、
電話の話言葉で済ませていたわけです。
(私に限らず、大半の人がそうだったでしょう・・・)

さて、話し言葉、書き言葉という表現方法の違いによって、
気持ちの伝わり方が異なってくる点は、いまさら指摘するまでも
ないことですね。

したがって、気持ち(感情)の伝わり方がどう異なるかを
きちんと理解しておくことは、お客さまとの良好な関係を
維持するためには、必須と言えるのではないでしょうか。

最近は、コールセンター(いわゆる「お客様相談室」)は、
電話、FAX、Eメールを統合して扱うようになっています。

お客様とのやりとりを行うオペレーターには、
お客様の問い合わせ内容や性格などを的確に読み取って、
電話で連絡するのか、それともEメールで返信すべきか、
柔軟に使い分けるスキルが必要というわけです。

おそらく、熟練のオペレーターなら、
こうしたスキルを暗黙知として習得しているのでしょうけど、
新人オペレーターの教育のために、きちんしたノウハウとして
伝えているところはまだあまりないようです。

よく、最近の若手社員は、隣席の社員とまでメールで
やりとりしてるとか、休暇届けをメールで送りつけてくる
とかで憤慨した、みたいな話を聞きます。

しかし、社内のコミュニケーションの問題を云々している場合
じゃなくて、お客さんとのコミュニケーションにおいて、
自分や、自社社員が電話やメールなどをうまく使い分けているか、
確認した方がいいんじゃないでしょうか?

投稿者 松尾 順 : 08:27 | コメント (4) | トラックバック

子供に対する、親の無条件の愛

「ザ・ウインザーホテル洞爺」をご存知でしょうか。

洞爺湖を見下ろす北海道のリゾートホテルです。

千歳空港から電車で70分、さらに駅から車で20分。
交通不便な立地ではあるものの、バブル時代に665億円を投じて
建設された一流の豪華施設と雄大な自然環境が魅力です。

ウインザーホテルの前身は、「ホテルエイペックス洞爺」。
92年に、一口3千万円の会員制のリゾートホテルとして
開業しました。しかし、バブル崩壊ため会員が集まりません。
あわてて一般客にも開放し、料金の引き下げを図ったものの、
96年には客室稼働率が22%まで低下していました。

そこで、当時、長崎ハウステンボスのホテル立ち上げを
成功させた伝説のホテルマン、窪山哲雄氏が同ホテルの
運営を引き受けることにしたのです。97年のことでした。

ところが、ホテル名をウインザーホテルに変更し、窪山氏が
さあこれからだと思った矢先の同年11月、実質的な同ホテルの
オーナーだった拓殖銀行が破綻しました。
その結果、ウインザーホテルは閉鎖を余儀なくされました。

苦渋の閉鎖後、窪山氏は、同ホテルの再生のために駆けずり回り、
2002年6月、ようやく営業再開(グランドオープン)を果たします。

その頃、グランドオープン直前に窪山氏が書いた本があります。
「プロジェクトホテル」(小学館)という題名です。

さらに、グランドーオープン1年後の2003年7月には、
「サービス哲学」(オーエス出版)を上梓されています。

当時、私はこの2冊の本を読み、窪山氏のホテルマンとしての
熱い思いと、確固たるサービス哲学に深い感銘を受けました。

窪山氏は、社会におけるサービスの真髄を

「子供に対する、親の無条件の愛」

だと考えています。

すなわち、「サービス」とは母性なのです。
ほぼすべてにおいてお客さまを受け入れ、恥をかかせず、
ノーと言わない姿勢。

これが、窪山氏の考える、サービス業のあるべき姿です。

私たち素人はこんな考えを聞くと、

「すべてを受け入れていたら、客がつけあがらないだろうか」

とか、

「言われたとおりのことをやっていたら赤字になるんじゃないか」

とか思っちゃいませんか。

ところが、実際はそうではないのです。
図に乗ってわがままし放題のお客さんは、ほんの一握りです。

大多数の人は、相手から受けた愛に対して、私も相応の愛を
お返ししなければと思わずにいられなくなります。

その結果、繰り返し訪れるロイヤル顧客となり、
また友人知人に口コミしまくるようになるのです。

これは、人間が集団生活を営む上で、生得的に備わっている

「互酬性」(受けた借りは返すさずにはいられないということ)

のなせる業でしょう。

実際、サービス業で成功しているところは、まず間違いなく
この「NOと言わない」というサービス哲学を持っています。
たとえば、大阪のリッツカールトン、
そして‘愛と感動のレストラン’青山の「カシータ」です。

リッツカールトンには宿泊したことはありませんが、
カシータのサービスは体験したことがあります。
確かに、ずば抜けた「母性」を感じました。

さて、ウインザーホテルの話題を取り上げたのには
理由があります。

ウインザーホテルは今年、遂に復活したのです。
先日掲載された日経産業新聞の記事によると、
今年、単年度黒字を達成できる見通しになったそうです。

直近の実績を見ると、今年8月の稼働率は89.9%、
ほぼ満室状態ですね。
客室単価43700円、一人当たりの消費額は51000円でした。

親の愛のサービスに対して、宿泊客はたっぷりと「お金」で
借りを返してくれています。(^o^)

私は常日頃思うのですが、サービス業にかかわらず、
すべてのビジネスは、こちらが先にお客さまに「愛」を
注ぐことではないでしょうか?

投稿者 松尾 順 : 12:11 | コメント (0) | トラックバック

市場調査とマーケティングの違い

元リクルートの創刊男、くらたまなぶ氏は、市場調査とマーケティングの
2つの言葉を使い分けています。つまり、別の意味で使っているのです。

市場調査とは、昨日までの状況を把握することです。
市場シェアだとか、顧客数だとか、販売価格の推移だとかですね。

一方、マーケティングは、明日からのお客さんの気持ちを知ることです。
まさにマインドリーディングと同じですが、お客さんが今は満たされていない
何かを探ることです。

この何かを「ニーズ」といってしまえば簡単ですが、お客さんの口から、
「こんなのが欲しい」という答えを期待することはできませんね。

もし聞けたとしても、それはたいしたアイディアではありません。
なぜなら、お客さんは消費の専門家ではありますが、商品やサービス
の専門家ではないからです。

私たちマーケターは、商品・サービスの専門家であることに加えて、
お客さんの本音を引き出し、理解できる「顧客の専門家」であるべき
だと私が考えているのには、お客さんから直接、売れる商品開発の
アイディアは聞けないという大前提があるからなんです。

くらた氏の話に戻すと、市場調査では、数字で把握することが基本
です。つまり「算数」の世界。しかし、マーケティングでは、お客さん
の本音を「言葉」で捉えようとします。つまり「国語」の世界。

これまで、リサーチの世界は、数字での把握が中心になってきたわけ
ですが、当然ながら商品開発のヒントは得られない。

というわけで、テキストマイニングなどの、お客さんの生の言葉を
いかに収集し、分析するかというのが今の最大のテーマになって
きたのは必然的展開なのです。

投稿者 松尾 順 : 13:31 | コメント (0) | トラックバック

コーヒーの席巻

イギリスの紅茶を飲む習慣が、スターバックスなどの進出で
変わりつつあるようです。
(日経ビジネス2005年11月7日号、THE WALL STREET JOURNAL)

記事によると、ロンドンにあるスタバの店舗数は200店舗。
ニューヨークが同190店舗ですから、いかに、英国人がおいしいコーヒーを
待ち望んでいたか、いや、ついに目覚めたかということでしょう。

一方で、紅茶の消費量(金額ベース)は過去5年間で12%低下しました。
紅茶はイギリスの伝統的な嗜好品ですし、消費量は依然として圧倒的に
多いのですが、スタバの勢いを見る限り、
今後も、コーヒーが紅茶を着実に食っていきそうです。

紅茶、コーヒーといった嗜好品は、必需品以上に、個人の好き嫌いが
消費に最も大きな影響を与えます。
そして、自分の好きな味に対するこだわりを持つ一方で、
いろんなものを試してみたいという相反する欲求も持ちます。

英国人も、慣れ親しんだ紅茶に満足していたし、おいしいコーヒーが
なかったので、これまであまりコーヒーの消費は増えなかったのでしょう。

ところが、スタバのコーヒーはおいしいだけでなく、モカ・フラペチーノ
など、さまざまな種類の味が楽しめるという「選ぶ楽しみ」もあります。
このあたりの目新しさが、英国人の心をつかんだんでしょうね。

一方、紅茶業界は、その安定した地位にあぐらをかいて、
ろくなマーケティングをやってこなかったようです。
コーヒーの席巻にあわてて、いろんな策を打ち始めています。

さて、日本でも、いわゆるシアトル系カフェの浸透には
目を見張るものがありますね。
コーヒーの消費量も相当伸びているようです。

しかし、日本の伝統、緑茶の消費も着実に伸びています。
これは、日本の誇る緑茶飲料のおかげですね。
この市場を切り開いたのは伊藤園の「おーいお茶」ですが、
毎年新たな緑茶飲料が次々と発売されています。

伝統的な日本食に合うし、砂糖を入れない、健康的な飲料
として若者にも評価されているのが緑茶です。

実は、私のふるさとはお茶の名産地です。
「八女茶」というブランド名です。
確か、八女茶の入った緑茶飲料も最近発売されました。

とにもかくにも、日本のおいしい緑茶が、コーヒーに負けることなく
がんばっているのでほっとしているんですよ。

投稿者 松尾 順 : 12:05 | コメント (3) | トラックバック

お客さんをどこまで満足させればいいのか

「顧客満足度調査」を実施している企業はたくさんありますけど、
実際に活用できているところはそれほど多くはないようです。

まあまあ平均以上の商品やサービスを提供している企業だと、
顧客満足度はおおむね高くなりますから、
「満足度高くて良かったね!」で終わってしまってます。

それじゃ、

“「自己満足度調査」でしょ”

と突っ込みいれたくなりますね。

さて、顧客満足度を調べる狙いは、満足度を高めることで
再購入してくれるお客さん、周囲に口コミしてくれるお客さんを
増やすことです。

ところが、調査してみると、顧客満足が高いお客さんでも
結構高い割合で浮気をしていることがわかっています。
「満足度が高けりゃ、ブランドスイッチはしないだろう」
という安易な仮説は成立しなかったのです。

そこで、考えたいことは、

お客さんをどこまで満足させればいいのか

ということでしょう。

これについてわかりやすい考え方があります。

顧客満足に影響を与える商品やサービスの要素を
つぎの3つの切り口で見るものです。

1 不満足要素
 この要素がないと「不満足」になるもの。
 ただし、この要素があったとしても「満足」するわけではない
 例えば、携帯電話では、音声通話の機能はあって当たり前。
 ついていたからといって満足はしませんね。

2 満足要素
 この要素があると、お客さんは「満足」します。
 ただし、この満足は、問題が解決された状態に過ぎません。
 あなたではなく、他の商品やサービスでも解決できたかも
 知れない程度のことです。
 したがって、単に満足しただけでは
 ブランドスイッチが防げないのは、当然ですね。

3 感動要素
 この要素は、お客さんに感動を与えるほどの素晴らしい商品や
 サービスです。
 この要素が提供できれば、あなたの商品やサービスはお客様の
 心に深く刻まれ、他社に浮気される可能性が低くなります。
 もちろん、感動要素の提供は簡単ではありません。しかし、
 だからこそ、他社との差別化に有効ともなるのです。

実は、この3つの要素のさらに上位の要素もあります。
それは、「感謝要素」です。お客様が感謝の言葉や感謝状を
送ってくれるほどの高い価値を提供できればまず、お客さんは
離れていきません。

自社の商品やサービスの持つ機能、性能、品質、デザイン、
サービスがそれぞれ、上記の要素のどれに該当するか、
考えてみませんか。

もし、感動要素、感謝要素が少ないようであれば、
どうやったら感動要素を生み出せるか、考えた方がいいです。

投稿者 松尾 順 : 12:47 | コメント (0) | トラックバック

メールをやるのは無駄な時間・・・?

たまにマスコミで、

「ビジネスパーソンがメールに費やす時間は1日何時間で、
年間XX時間が‘ムダ’になっている」

みたいなう調査結果が報告されますね。

また、記者の取材を受けた人が、

“私には、毎日100通以上のメールが届くので、それを処理するだけで
半日かかってしまうんですよ”

みたいなコメントをしていたりします。

私は、上記のような調査結果やコメントを読んで、
メールがまるで「ムダ」なものであるかのようにみなしている表現に
いつも疑問を感じていました。

遊びの相談とかのメールばかりやっているのならともかく、
仕事では、電話連絡の代わりにメールを使う頻度が増えている
わけです。

電話では、相手が捕まらなくても、メールならとりあえず送って
おいて、返事を待つことができる。お互いに非常に便利になった
のに、ムダと言うのはなぜなんですかね?

ただ、先日、キーボードを打つのが遅いのでメールは苦手だ
という人の話を直接聞いて(苦手な人がいることは知っていましたが)、

そうか、確かにキーボードが苦手な人は、電話で要件を済ませていた
頃に比べて何倍も時間がかかるんだなと納得しました。
たとえ、自分からは電話で済ませられても、先方から来たメールには、
基本メールで返信しないといけないですからね。

また、あまり文字を読むのが早くない人にとっても、
メールは時間を大変食うものみたいです。

そうすると、自分の情報処理能力の限界が原因で、
確かにムダになってしまう時間が出てくることになります。

メールに加えて、ブログもますます盛んになってきましたが、
以前よりもはるかに「文字文化」が浸透してきたということを
意味しています。つまり、文字文化に得意でないと、なかなか
に社会生活がつらいということを意味します。

小中学生の頃から、タッチタイピングや速読の練習を
必須にすることが、これからは必要ではないかと思いませんか。

投稿者 松尾 順 : 07:08 | コメント (0) | トラックバック

検索&共有

ネット時代の消費者の新しい商品購買プロセスモデルとして、
電通さんは「AISAS(アイサス)」を提唱しています。

---------------------------------------
A Attention 注意喚起

I Interest 興味

S Search 検索・評価チェック

A Action 購入

S Share 意見・情報の共有
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従来の商品購買プロセスとしてよく知られているのは
「AIDMA(アイドマ)」ですね。

「AISAS」が、ネット以前のプロセスモデル「AIDMA」と
大きく異なる点は次の2点です。

・ネットを活用して、入念な「検索・評価チェック」を
 行う消費者行動が重要なプロセスとして加えられた。

・商品・サービス購入後、実際に利用してみての体験や
 感想、評価をブログなどを通じて積極的に公開する
 プロセスが加えられた。

消費者はネット以前にも、情報収集を行い比較検討・評価を
行ってきたわけですが、インターネットは消費者の情報処理
能力を飛躍的に高めましたよね。

また、カカクコムやECナビ、@コスメなど、
商品の比較検討が簡単にできてしまうネット上のサービスが、
消費者の検索、評価力をさらに強化しています。

「AIDMA」に含まれていたD(Desire:欲求)と
M{Memory:記憶)のプロセスが、消費行動の中から
消えてしまったわけではないと思いますが、

「商品を買うのか、買わないのか」という検討段階

における「検索・評価チェック」という行動が
大きな購買決定要因になってきたのは間違いないですね。


また、以前は、購入した商品やサービスが良かったのか、
悪かったのかといった事後評価は、いわゆる「口コミ」として
周囲の限られた人だけに話していました。

しかし、今は、ブログで体験談を書いたり、
上記の比較サイトに投稿することで、縁もゆかりもない
「大衆」がそうした情報を入手できるようになりました。

マーケティング手法として、「口コミ」が注目されているのは、
意見・情報の共有が、限定されたコミュニティだけでなく、
全日本・全世界レベルで可能になったことがあります。

先日のブログ「自分がやりたいことをして何が悪い」の中で、
他人に影響を受けやすい「シゾフレ人間」がインターネットの
浸透によって増加するだろう、ということを書きました。

AISASの新しい購買行動のモデルを踏まえて、マーケター
が留意しておきたいのは、これからの消費者は、
外部の第三者の情報(特に評価情報)を精力的に収集し、
またそうした評価に依存する傾向が高まることでしょう。

投稿者 松尾 順 : 13:03 | コメント (0) | トラックバック

収益に直結する外見

人は見かけで判断しますね。また、判断されますね。
(正確には、そのような傾向がありますね)

つまり、人は、‘視覚’で捉える表面的な情報で
物事の良し悪し、好き嫌いを評価しがちなものです。

このことは、しばしばゆがんだ固定観念や先入観に基づく
人種差別を生み出してきたわけですが・・・

ビジネスにおいても、最近は特に見かけ(外見)の重要性が
強調されてきたように思います。

スタイリストによる、個人向けのファッションコンサルティングが
ビジネスとして成立するようになってきましたし。

さて、昨日の日経MJでは、外見がもろ収益に直結する新サービスが
紹介されていました。

新しいバイク便サービスのことです。

バイク便と言えば、つなぎ、というか派手な感じの作業服を
着たお兄さんというイメージがあります。

あれは、バイクに乗りやく、雨風に耐えられる機能性の高い服装
ですし、ピュッと運んでくれそうな軽快な印象を与えています。

しかし、ちゃんとした服装が求められる場所、例えば病院には
不似合いです。怪しい人間と受け取られ、セキュリティ的に
問題のある学校もそうです。

そこで、大阪の「リンケージ」が始めたのが、

「スーツを着たバイク便サービス-BS(ビジネススーツ)便」

です。

バイク便の機動性、スピードのメリットに、
スーツが醸し出す清潔感、安心感という新たな価値を付加しました。

BS便は、通常のバイク便よりも千円も高い価格設定。
でも、需要旺盛だそうです。

また、スーツを着ていることで、荷物の搬送だけでなく、
検査器回収などのサービスも受託できるチャンスが拡大し、
顧客単価がさらに上がります。

これほど明快にスーツを着ることが収益アップに貢献している
ケースは珍しいですよね。

ただ、スーツなら何色でも良いというわけではありませんよ。
基本は濃い色、紺やグレーが理想。
特に、紺は信頼感を最も与えてくれる色です。

BS便も、写真を見るとやはり紺のスーツを着ています。

逆に、明るい色、軽い色のスーツは、まさに「軽い感じ」を
お客様に与えてしまうので、なじみのお客さんはともかく、
新規営業にはマイナスになります。

そういえば、リクルートルックは男性も女性も皆、
紺のスーツですね。しかし、面接官に良い印象を与えるために
最善の色を選択した結果です。

とすれば、彼らを画一的などと責めるのはかわいそうです。

投稿者 松尾 順 : 13:10 | コメント (0) | トラックバック